我々アダルトな紳士淑女にとって切っても切り離せないのが「お酒」という飲み物。
エタノールによる脳機能の麻痺を楽しむという安全が確保されている人類にのみ許された至高の行い。
この神に与えられた飲料は多くの社会人の心を癒していることでしょう。
その中でも有名なのがとあるギャンブラーの心の叫び…
「キンキンに冷えてやがる…!」
非常に過酷な労働をした上での一ヶ月ぶりのビールを手にした彼の飲みっぷりは、ネット上で伝説的なビール販促効果を持っています(個人の感想)。
何を隠そう、成人した当初はそれほどビールが好きでなかった私を虜にしたほとです。
彼の置かれた状況を再現するのは、人生のどん底まで落ちる必要があるためにゴメン被ります。
とはいえ、「キンキンに冷えてやがる…!」と思えるほどに冷えたビールというのはさぞ旨いことでしょう。
ではどれくらい冷やせばいいのでしょうか。
かの伝説のギャンブラーはどんなビールを飲んだのか、せめて温度だけでも再現したいと思い実験したのが本記事の記録になります。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
前書き(戯言)
何かとストレスや不安の絶えない現代社会、学生時代に感じていた以上のストレスを絶え間なく感じ続ける社会人生活。
学校生活のように数年で終わるということはなく、今後50年近くにわたってこの不安は続いていきます。
そんな我々に許された最高の娯楽が「飲酒」です。
酒を飲むことで現在感じているストレスや将来への不安が曖昧になるのです。
言うなれば下熱鎮痛剤と同類のものであり、苦痛を和らげている間に治癒能力を最大限に発揮してもらうのです。
ここで間違えてはいけないのは、酒は治療薬にはなりえません。
あくまで対症療法の一つです。
なんてどうでもいいことを言いつつ、とどのつまり私はビールが大好きなのです。
キンキンに冷えてやがると感じる条件
ギャンブルの果てに到底返しきれない負債を抱えたカイジは、金貸業の元締めである帝愛グループに拉致され、地下シェルター作り(土木作業)を強制されます。
その労働時間後に班長(カイジと同じ拉致された債務者)が行う物販商品の一つがビールでした。
とはいえ、カイジが「キンキンに冷えてやがる」と歓喜したビールは購入したものではありません。
当初カイジは地下社会の給料を得ても物販を利用する気はなく、
物欲を刺激するために物販の元締めをしている班長が差し入れた135ml缶を手にした時にキンキンに冷えたビールに出会ったのです。
地下帝国に拉致されるのは絶対に嫌なので、再現実験をするのはあくまでビールを握った時にキンキンに冷えてやがると思える温度のみとします。
とはいえ、なるべく原作準拠の状況を作り出したいので、以下のような条件とします。
- 暑苦しい身体を作る
- 135ml缶で実験する
- 軍手越しに缶を握る
具体的に説明します。
暑苦しい身体をつくる
前述の通り、カイジは地下にてシェルター作りを強制させられています。
当然まともな労働環境ではなく、文字通り地中を掘り進める作業を行っています。
空気が送られてはいますが、重機の排出する排気ガスや粉塵を排気・濾過させる装置はありません。
当然冷房なんて贅沢品もありません。
外気を取り込もうにも、地下は外につながっていないため、彼らの住む21人同居のタコ部屋の温度と湿度は否応なく上昇します。
厳しい肉体労働に加えて、身体を休めるには十分だといえない環境に身を置いているのです。
幸い私はそこまで酷い生活をしていないため、
お風呂で無理やり暑苦しい身体を作ってトライします。
いやー、ビールがますます旨くなっちゃいますね。
135ml缶で実験する。
前述の通り、カイジが「キンキンに冷えてやがる…!」と唸ったのは、班長が差し入れた135ml缶のビールに対してです。
ぱっと見、スーパードライに似ていますが「ハイパードライ」です。
これが350mlや500ml缶であれば掌を完全に冷やすことができるでしょう。
しかし135ml缶はとんでもなく小さいのです。
お墓に備える以外の用途としては、作中のように中途半端にビール欲を刺激させて購買意欲を高めさせるくらいしか思い浮かびません。
いずれにせよ、カイジはこれでキンキンに冷えていることを確信したのですから、同じようにしましょう。
軍手越しに缶を握る
彼はとある理由から、基本的に軍手を着用しており、それは班長から差し入れをもらった時も例外ではありません。
軍手とは「軍用手袋」の略であり、旧日本軍では作業時の手指の保護のほか、防寒用としても使われていた立派な保護具です。
現代の防寒用手袋に比べれば遮熱効果は天と地ほどの差がありますが、それでも多少の温度差から手を保護します。
つまりは、生半可な冷え具合ではカイジは「キンキンに冷えてやがる」とまでは感じないはずなのです。
その上、カイジはビールを手に取って比較的すぐに冷えていることに気づいています。
正確な時間はわかりませんが、一ヶ月ぶりのビールに感動していたとしても5秒くらいでしょうか。
なので、この実験でも軍手越しに5秒間握って冷えていることを感じられることを条件とします。
実際にやってみた
何はともあれビールそのものがなければ何も始まりません。
まずは買い物へレッツゴー。
なにせ私には差し入れをしてくれるタヌキおじさんはいませんし。
特に苦も無く、無事に目当てのブツを購入できました。
とても小さいですねー。
全く満足できない大きさです。
これを冷蔵庫にぶち込み冷やします。
作中では水槽に氷水を入れて冷やす描写がありますが、我が家にはそんなものはありませんので。
???
さてそこから約4時間、家事をしたり子供の相手をしたりして時は過ぎていきます。
そして子供を寝かせつけた後に待ちに待った晩酌タイムがやってきました。
お風呂に長めに浸かってホッカホカになった私が取り出したるは先ほどの135ml缶。
温度計を当ててみます。
表面温度16℃???
こんなに高いものかしら。
何を隠そうこの温度計は非接触型の体温計であり、その機能の一つである対物温度測定機能を使っているのです。
なのでそこまで正確な温度は出ません。
しかし、沸騰している鍋の蓋の温度を測ると96℃と出たので、そこまで乖離してはいないでしょう。
本題に戻して、この状態の缶を軍手をつけて握ってみます。
待つこと5秒。
「ヒンヤリとしてやがる…!」
確かに冷えてはいました。
軍手で何か冷たいものを持ってるなーという程度には冷気を感じます。
しかし「キンキンに冷えてやがる…!」というほどではありません。
素手で持てば十分冷たいんですけどね。
しかし、見ての通り軍手で缶を持ったカイジは「キーン…」と明確な冷気を感じています。
つまり、私の手の中にあるビールはカイジの飲んだビールより緩いということです。
本場ドイツのビールは常温で飲むこともあるそうですが、ここは日本だそんなことは知らん。
次の手だ。
!!!
我が家の冷蔵庫にはマイナス3度まで冷やしてくれる極低温チルドルームがあります。
そこにぶち込みましょう。
さらに念には念をいれて、そこで一晩過ごしてもらいます。
そして晩酌を終えて次の日。
酒を飲む日ではなかったので、温度の測定のみ行います。
風呂を終えた私は再度冷蔵庫からブツを取り出します。
その時点でわかる圧倒的冷気。
取り出したまま握ってみます。
脅威の10.2℃!
体感でもわかりましたが、温度を測ればその差は歴然でした。
さて握ってみます。
「キンキンに冷えてやがる…!」
まごうことなき圧倒的冷気が軍手を貫いて手のひらに、肉に、骨に届きます。
ああ、これはは絶対に美味い!
私はそのままプルタブを開け、休肝日という言葉を辞書から消し飛ばしてから(妻に何か言われる前に)一気に缶を煽りました。
シュワシュワシュワ
涙が出るっ…!
かぁ〜〜っ!!
とまではいかないものの相当に美味しかったです。
労働をしていない休日に風呂で温めた身体に1日ぶりのビール…!
美味いに決まっています。
カイジがこれで班長の策略に落ちてしまったのもうなづけます。
彼の境遇では、この誘惑に勝てる道理なんてありません。
まとめ
キンキンに冷えてやがる…!
そう言うには16℃以下、目安は10℃前後まで冷やすべきということがわかりました。
しかし、こう言うと本記事の趣旨を曖昧にしてしまいそうですが、
個人的にはビールは冷えれば冷えるほど美味しさが比例して上がっていくものではないと思います。
あまりに冷えすぎると、炭酸が鋭くなり喉越しは良くなるものの、麦の風味が感じにくくなるような気がするのです。
なので、個人的にはここまで癒したビールをいっぱい飲みたいとは思えませんでした。
しかししかし、ここで今回使用した135ml缶の有効性について一つの仮説が頭に浮かびました。
よく言われることですが、ビールは最初に一口が一番美味い。
そして喉の渇いた状態では良く冷えた炭酸のビールは身体の隅々に染み渡っていきます。
つまり、最初の一口用に135ml缶を用意するのは、もしかしたらアリなのかもしれません。
ここまで考えたところで、だったら350か500を冷やせば、飲んでるうちに緩くなるから問題ないじゃないかと言う結論にも至ってしまったのですが。
何にしろ、カイジが飲んだビールを味わうことができたのは長年の憧れを達成したような気がします。
もし気になる方がいましたら、お試しいただいてはいかがでしょうか。
そして、仕事終わりにビールを飲む際は、賭博破戒録カイジの1巻をみてコンディションを整えましょう。
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以上、ご覧いただきありがとうございました。
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