10年以上たってフルリメイクMVが公開された
米津玄師氏のドーナツホール
若かりし頃の私もハチ名義の曲をそれはもう繰り返し聞いておりました。
今回、話題騒然となった新MVですが、私のようなミリオタが特に気になる箇所が一つありました。
それが劇中に登場する回転式拳銃
マテバ2006Mです。
今回はイタリア産のこのリボルバーについて解説していきます。
登場シーン
MV内にて、人を襲った廃品の化け物に対して登場人物の一人が懐から抜き発砲。
特徴的なデザインが再現されておりマテバ2006Mであることがわかります。
また、装填されているのは.38スペシャルか、.357マグナムかは分かりません。
そもそも実弾の描写ではないですね。
後半の統治機構からの襲撃に対する戦闘においても使用され、決定打へと繋がる描写があります。
マテバ2006M
この名称から2006年に発売されたのかと誤認されがちですが、実際には1990年に発売された、少し古めの競技用拳銃です。
見ての通り6発の回転式弾倉を採用したダブルアクション・リボルバー(回転式拳銃)です。
2006Mの最大の特徴は、銃身が一般的な銃より下に配置されている点です。
これにより、発砲の衝撃がグリップにより近い箇所に当たり、銃口の跳ね上げを防ごうというコンセプトです。
見た目の特徴としては、弾倉を固定するシリンダー回転軸が銃身の上にあるため、一般的なリボルバーのスイングアウトとは異なり、180度回転して、銃の上方に固定されます。
また、競技用として設計されているため、通常は手間のかかる銃身交換が容易であり、用途に応じて複数の銃身長へ換装が可能です。
ちなみに、用意されている銃身長は
2/2.5/3.1/3.5/4/4.5/5/6インチの計8種です。
MVで描かれている2006Mは4か4.5インチでしょう(適当目測)
その他情報
2006Mの販売元であるイタリアのマテバ社は現存していません。
マテバ社の主力産業は食品機器の製造業でした。
銃器製造は副業でありつつも、こちらが有名だったそうです。
しかし売り上げ不振や経営者の死などが重なり2005年ごろに会社を清算して廃業しました。
その後、マテバの銃器開発部門のスタッフは同業他社へ移籍しています。
つまり、2006Mをはじめとしたマテバの銃は生産が完全に終了してしまったというわけです。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
イタリアのある投資家がマテバの商標と製造権を所得し、マテバイタリアという会社を起業します。
さらに2017年にはイタリアの銃器製造ライセンスを取得しマテバブランドは再スタートを決めました。
しかしやっぱり捨てる神あり。
2022年に同社はイタリアの公安当局に摘発されます。
曰く、銃器の違法な売買及び輸出、武器製造企業が遵守すべき法令や公的書類の作成・提出に関して違反を行っていることが確認されました。
どうやらイランやらがかかわっていたようですね。
そうして、現在ではマテバは完全に息を引き取った状態にあります。
MVのプチ考察
おそらくドーナツホールの歌詞やMVから、いろいろと考察を楽しんでいる方も多いかと思います。
残念ながら私にはその手のセンスがないのでイマヒトツですが、かなりニッチなマテバをMVに登場させるあたり、何も考えていないということはないと思います。
今では製造されていない製品、
製造を続けてくれる会社も社会のルールから外れてしまい排斥されました、
予備部品の生産や修理などのサポート体制もなく、
やがては壊れて捨てられるだけの運命が待っている銃。
案外、MVの世界観とあった銃なのかもしれませんね。
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