比較的ニッチなジャンルであるシステム手帳の中でも、さらに独自の路線を行くのが
フランクリン・プランナーです。
7つの習慣という自己啓発のベストセラー本の内容を効果的に実行するために開発され、第四世代の手帳と位置付けられた従来の手帳とは異なる時間管理ツールです。
本記事では、フランクリン・プランナーを活用していたものの、結局は通常のシステム手帳に戻った私が、
フランクリン・プランナーの利点と、なぜ通常のシステム手帳に戻ったのか
についてまとめました。
フランクリン・プランナーがどんなもので、実際の使い勝手はどうなのか気になる方は、是非ご覧いただけますと幸いです。
以下、フランクリン・プランナーをFPと略します。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
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第○世代の手帳とは
第一世代

一言で表現するならば、「メモ」のことです。
やること、忘れたちゃいけないことを備忘のために書き連ねたものです。
タスクリストとしては機能しますが、忙しくなるとこれを元にタスクを実行していくのが難しくなります。
計画的にまとめられたわけではないため、混乱しがちです。
そのため、第一世代の手帳では効率的なタスク処理ができません。
極端に言えば手帳としての形がなくても構わないレベル、
つまりはメモ用紙や付箋、レシートの裏紙でも事足りる程度の使い方になります。
リーガルパッドはなぜだか使っていて楽しい製品ですよね。
ただの紙なのに、そこに魅力を感じるのは私が文房具好きだからでしょうか。
第二世代

いわゆるスケジュール帳やカレンダーに該当します。
先の時間を見据えて予定を立てることができるようになり、
第一世代に加えてやるべきことを時系列順に計画をすることができます。
ただ、単純に与えられたり降り掛かってきたタスクをこなすだけの有意義ではない時間の使い方になりがちです。
百均でも買えるシンプルな手帳をそのまま使うと、この第二世代の手帳になりますね。
現代ではスマートフォンのスケジュール機能を活用している方も多いでしょう。
第三世代

タスクリストと実行予定については上記の第一第二世代の手帳で管理できます。
では、そもそも何をタスクとしているのか、という問題を解決するのが第三世代の手帳です。
要するに目標設定と優先順位付けが追加された手帳です。
しかし、設定した目標とその優先順位に明確な根拠や具体性がなく充実感を得られないことになりがちなうえ、
さらに効率優先主義になり、スケジュールに追い立てられたり、大切な人との時間をおろそかにしてしまいがちです。
超偏見ですが、バブル期のイケてるビジネスマンの姿が透けて見える手帳です。
第四世代
ここで登場するのが第四世代の手帳として生まれたフランクリン・プランナーです。
第一から第三をさらに進化させたものであり、
自分の価値観と目標、やるべきことを一致させることで「本当にやりたいこと」を疎かにしないスケジューリングを目的としています。
スケジュール変更に対しても、価値観と優先順位がはっきりしていることで、ただ機械的に仕事をこなしてしまうのを防ぐ助けになります。
そういった習慣を得ることで、自分にとって大切なことを忘れることなくバランスの取れたスケジュールで生活をすることができるようになるとのことです。
フランクリン・プランナーの魅力
上述の通り、第四世代の手帳として生み出されたFPは、目的達成のためのスケジューリング機能を高めた製品です。
なんとなく「こうだったらいいな」と漠然と考えていた目標を具体化し、そのために必要な要素を洗い出し、優先順位を決めてPDCAを回すことに特化しています。
自分はどのような目標を持っているのか。
なぜその目標を持っているのかという根源的な部分から明確化していきます。
FPは各々が持つ価値観を明確化するための演習が用意され、それに基づいた目標達成のためのスケジューリングを手助けしてくれる手帳です。
具体的に解説します。
価値観の明確化

FPで最も重要になってくるのが
価値観の明確化
というプロセスです。
我々は何かを考える際の土台として、自分が持つ価値観に縛られます。
価値観というのは生まれ持ったものというよりは、今まで生きてきた中で経験したことや感じたことから作り出される自分独自のものであり、
人によって考えや行動が異なるのは、価値観の差によるものです。
フランクリン・プランナー社は自らの価値観と行動(結果)が一致したときに深い充足感を得られると定義しています。
人の持つ価値観というのは、本来は状況に左右されないはずのものです。
しかし、人間の心はそうシンプルではありませんし、身の回りを取り巻く状況はもっと複雑です。
社会活動をする上でさまざまな立場に身を置かざるを得ない現代人たる我々は、TPOを弁えて時には言動を変える必要だってあります。
すると、往々にして自らの価値観、ひいては目標や夢を忘れてしまいがちになり、
元々ボンヤリとしか認識していなかったこれらの大切なもの達は、より遠くへ流れてしまい、やがて思い出すことすら難しくなるのです。
価値観も目標もない状態だと、与えられた刺激(仕事)に反応するだけの充実感とは無縁の生活を送ることになってしまいます。
それを防ぐために、FPは価値観を明確化するための各種演習(質問)が用意されています。
自分がこれまで生きてきた中で何を経験し、何を思ったか。
記憶に深く残っていることや、自分で考えて導き出した結論というのは、自らの持つ価値観と深くかかわっています。
役割の明確化

あなたも私も、状況によって幾つもの役割を与えられます。
たとえば私だったら、以下のようになります。
- 自分(個人)
- 夫
- 父親
- 会社員(担当業務)
この程度だったら殆どの人がパッと書き連ねることは出来ますが、それぞれで必要な要素まで具体的に考えていますか?
- 自分のことをどうしていきたいのか。
- 夫としてどうあるべきか、どうありたいか。
- 子供に対してどのように接して行くのか。
- 会社から自分に期待されていることは何か。
これらを上記で明確にした価値観を基に具体的に考えます。
そして、その目標の為には何が必要なのかを一つずつ具体的に策定していくのです。
そして一週間というスパンでそれぞれの役割に必要な個別の目標を設定し、それを達成するためのスケジューリングを行います。
その管理には「一週間コンパス」という用紙を使用します。

用紙をファイリングが可能な専用のブックマーク(コンパスポーチ・ページファインダー)に挟み、デイリーページを開くたびに確認することができます。
余談ですが、このブックマークが非常に便利で、今では1週間コンパスは使っていませんが、ブックマークだけは使い続けています。
ちょっとしたメモを挟むのにうってつけなので、バイブルサイズのシステム手帳を使っている方には使って損はありません。
※FPは独自のサイズを採用しているため、一般的なバイブルサイズと「コンパクトサイズ」は互換性がありますが、その他は一般的なサイズとの互換性はありません。
優先順位の明確化

FPではすべてのタスクを4つの領域に分類して優先順位を付けるよう提唱しています。
- 第一領域:緊急かつ重要なタスク
- 第二領域:緊急ではないが重要なタスク
- 第三領域:緊急だが重要ではないタスク
- 第四領域:緊急でも重要でもないタスク
このマトリックスは7つの習慣における目標やタスク管理においてもっとも重要な考え方です。
この中で最重要なのは、第二領域と定義されています。
なぜなら、緊急度の高い第一領域と第三領域に押され気味になりますが、第二領域には重要度の高いタスクが入るからです。
少なくとも第三よりも大切なタスクであることは間違いありません。
ここに入るタスクというのは、自分の人生をより良くするためのものであり、目標達成のために投資すべき時間や労力になります。
しかし、あくまで自分のためのタスクであり、実行しないことによるデメリットが(見た目上)発生しないため、日々の雑事に圧迫されてしまい、緊急度としては高くないと認識されてしまいがちです。
逆に最も避けるべきなのは第三領域です。
自分にとって重要ではないにもかかわらず緊急度が高いために時間を奪われてしまうタスクです。
頼まれ仕事や雑用、自分には関係のない仕事を押し付けられることが該当し、期日を決められてしまうことで緊急度が高いと錯覚してしまうのです。
しかし、本来は自分の人生において不必要か重要ではないもののため、第二領域より優先度は低いものになります。
頼みごとを断れない優しい(気弱な)人が特に陥りがちです。
以上の考え方から、基本的には第二領域のタスクをこなす為のスケジューリングを心がける必要があります。
FPの基本的なスタイルである1日2ページ(もしくは1日1ページ)のリフィルには、左側にタスクリストが設定されており、行うべきタスクを領域ごとに分類して記載が可能です。
1日の予定を立てる際に、タスクの分類および優先順位を正しく付けて、進捗状況を把握します。
このように見える化することで、計画したタスクを実施できたのか、未完ならいつやるのか、どのようにやるのか、という具合にPDCAを回しやすくなります。
ちなみに、下記の製品で価値観の明確化などの演習部分のみ購入することが可能です。
私の手帳運用にあたっての基本を学べましたので、ご興味がありましたら是非ご検討ください。
普通のシステム手帳に戻った理由

さて、このような強みのある独自の製品であるFPですが、現在私はFPのリフィルを使用していません。
それは以下の①~③の理由によるものです。
①公式のリフィルを必要としなくなった
FPは上述のように第四世代の手帳ですが、だからと言ってFPでなければならないということは、実は全くありません。
FPの提唱する運用思想というか、価値観と目標の明確化、それに必要なタスクの策定が出来るようになれば、日々使用するのが公式のリフィルである必要性は薄れてきます。
私はかつて、2年ほどFPの「1日2ページ」のリフィルを使用してきました。
このリフィルは左側がタスクリストと1日の予定表、右側が丸々メモ(罫線)の構成になっています。
もともと私はメモを多くとる為、メモスペースの充実感を気に入ったのです。
使用を開始してから、1日の初めにタスクを書き出し、仕事に必要なこと、自分の目標の為に必要なことを分類し、優先順位をつけ、それらをなるべく効率よくこなせる様に予定を立てていました。
最初の1年は好調でした。
自分の価値観を明確にすることで、自分は何が好きで、どういうことをしたいのかを明文化できたのです。
それに連動して目標も具体的になり、何をすべきなのかを考える習慣がつきました。
その結果、2年も使った頃には、FPで得られた考え方が習慣付き、公式のフォーマットの助けが無くても同じ考え方をすることが出来るようになったのです。
②公式リフィルに難がある
紛らわしい表題ですが、品質的には問題なく、前述のようにフォーマットも優れています。
ここていう「難がある」というのは以下のようなことです。
高価である
かなり有名な話ですが、FPのリフィルは非常に高価です。
もちろん、得られるものを思えばボッタクリとは言いませんが、毎年手帳に出す金額としては非常に目立つものでした。
サイズが独自である
さらに、リフィルのサイズが独自のものであることも課題でした。

上の画像を参考に、プロッターのリフィルパッドは通常のバイブルサイズと同じ大きさ。
その下の方眼用紙がFPのコンパクトサイズです。
見ての通り、コンパクトサイズは一般的なバイブルサイズと穴のピッチは同じなのですが、横幅が少し広く作られています。
この横幅が大きいために筆記面積が増えるというメリットはあるのですが、バイブルサイズの強みである携行性が損なわれ、かといってA5サイズほどの面積もないという半端な印象を持ってしまいました。
また、幅が広がったことで対応するバインダーも限られます。
普通のバイブルサイズのバインダーでは、リフィルがはみ出してしまうのです。
もちろん、対応できるサイズのものもありますし、FP社が公式バインダーも販売しています。
しかし、それが気に入るかと言えば別の話で、私はバインダーに関してはしぶしぶ使っていたというのが本音です。
ちなみに当時はロロマクラシックのバイブルサイズ(リング径24ミリ)を使用していました。
リング径15ミリだと、あからさまにバインダーからハミ出ますが、24ミリであれば不都合ありませんでした。
入手性に難がある。
FPは通常の文具店などでは取り扱っていることが少なく、リフィルの補充にも一苦労。
私の住まいの近くに取扱店舗は無く、通販を使用していましたが、メモを多くとる私にとってはコンスタントに購入できないのがストレスでした。
その点、通常のバイブルサイズのリフィルであれば、本屋や量販店の文具コーナーでも買えます。
いつでもすぐに手に入れられるというのは私にとっては重要な事でした。
③業務内容の変更により、ルーチン業務が増えた。
異動により、従来の営業から、ほぼ完全な内勤に代わりました。
すると、かなりの量の業務がルーチン化され、スケジュール管理という点においては手帳の出番は殆どなくなってしまったのです。
もちろん、プライベートな目標管理に変わりは無いのですが、今までは仕事のことも合わせて管理していたFPのスペースが余るようになってしまいました。
正直な話、私程度ではプライベートの目標管理は日々変動があるとは言えず、持て余すことが増えてしまったのです。
上述の理由が重なったことにより、FPのフォーマットの助けを必要としなくなっていた私にとって、公式リフィルを使用し続けるメリットが薄くなってしまったのです。
まとめ
現在はFPのリフィルを使っていない私ですが、上述のような強みを持つこの製品を使用したことによって得られた学びというのは本当に大きいものです。
あくまでもFPの提唱する第四世代の手帳活用方法を自分なりに理解し、それを普通のリフィルで実践しているだけに過ぎません。
FPを使った経験がなければ、せいぜい第二世代の手帳運用しか出来ていなかったと思います。
自分を形作っている「価値観の明確化」
そこから得られる「目標の具体化」と「タスクの策定」
フランクリン・プランナーが無ければ、これらを漠然としか認識できず、さらにそれが問題であることにすら気づけなかったでしょう。
誰もが充実感のある一生を送りたいと思っていることと思います。
FPはその助けに必ずなる手帳だと私は思います。
人生は不可逆的です。
今が一番若く、決して戻ることのできないタイミングです。
私はその気持ちを忘れずに、日々を生きていこうと思っています。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
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