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【体験談】自衛隊 教育隊はきつい?【体力編】

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自衛隊・ミリタリー・安全
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毎年春になると多くの男女が陸上自衛官になるために駐屯地の門をくぐります。

その日を境に民間人という守られる立場を捨て、桜の咲く駐屯地にて防人である自衛官となるための教育を受けることになります。


自衛隊での生活は経験のない方からしたら分からないことが多いでしょう。

新隊員となる皆さんは不安という強烈なスパイスが降りかかっているはずです。

本シリーズでは私の経験をもとに、陸上自衛隊前期教育での生活をネタバレすることで、皆さんの不安を少しでも解消できればと思います。


今回取り上げる要素は「体力面の不安」です。


【注】

本記事は陸上自衛隊での前期教育について記載しています。

海空も基本的に同じ教育を受けるそうですが、多少の差異はあるかと思いますのでご了承ください。

また、私が教育隊にいたのは2010年で、10年程度経っておりますので、現在の教育内容とは異なる部分もあるかと思います。


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先に結論

  • 健康であれば体力の心配はいりません
  • 体力より諦めない気力を持ちましょう
  • それでも体力はあるに越したことはありません


求められるのはエリートではなくプロフェッショナル

陸上自衛隊HPより引用

自衛隊といえば身体が資本の超体育会系の組織のというイメージがあると思います。


そして、そのイメージは超が付くほど正しい認識です。


自衛隊とは諸々の事情があれど、その使命は国防、つまりは軍事組織です。

戦闘を前提とした日本で唯一の組織であり、他国の軍隊やテロリスト集団とガチ殴り合いするには、それ相応の職場風土というものになります。


しかし、旧日本軍のように根性一辺倒というわけでは断じてありません。

もちろん、一般社会に比べたら根性の比率は段違いに高いですが、自衛隊という大きな組織を支えるのは個々の隊員であり、隊員に対しては最大公約数的な力の発揮を求めるのです。


厳しすぎる選抜を突破した極めて優秀な少数の隊員だけでは自衛隊という組織は回せず、それはつまり国防という最大の使命を果たせないということに繋がります。


自衛隊には必要なのは必要十分な素質を持った沢山の隊員なのです。


つまり、自衛隊が求めているのは少数のエリートではなく、多数のプロフェッショナルなのです。


体力的には一定の水準を設け、それを突破できれば自衛官として十分な素質があるとしています。

そして、その水準は入隊試験(身体検査)を通る程度の健康状態が有れば決して厳しいものではありません。

(入隊試験に体力検査はありません)


とはいえ、体力の有る無しで教育隊の生活の辛さが変わるんじゃないかという疑問については次の章にてお話しします。


自衛隊は皆さんを平等に扱います。

私のいた教育隊では1人、筋骨隆々でやたらと体力の有る同期がいました。

訓練中も体力検定も常にトップクラスで、私なんて全く歯が立たないほどにすぐれた身体能力を持っていました。


学生時代はラグビー部で活躍していたそうで、最初のうちは体力的に全然余裕だと言っており、訓練がラクそうで羨ましいなと思ったものです。


ところで、教育隊では軽微な問題を起こしたり、指示通りに行動できなかったりと、班長に指導される機会が沢山あるのですが、その際に多用される反省内容が腕立て伏せなのです。


「その場で腕立て伏せの姿勢を取れ!」


班長のこの声が至る所で聞こえたり、連帯責任として区隊全員で一緒に腕立てをしたりします。


当然優秀な彼も自衛隊の生活については私と同じようにほとんどの事を知りません。

必然的に反省の腕立てを喰らうことも多々あります。


そして新隊員の特性が分かるにつれて、段々と班長のやり方が変わってくるのです。


例えば、当時の私は自衛隊で行われる腕立て伏せが10回程度しかできませんでしたので、反省の腕立て回数は20回を命じられました。


ところが、優秀な彼は腕立て伏せを20回できましたので反省の腕立て回数は40回でした。


お分かりでしょうか?

絶対数ではなく、持っている能力によって相対的な判断で負荷を与えるのです。


他にも、ハイポートの苦手な者の隣には体力に優れるものを配置し、保持できなくなった銃を持たせて落伍しないよう引っ張らせたりしていました。


そうすると、体力に優れる者とそうでない者の主観的には、辛さに変わりはありません。

もちろん客観的に見れば辛さに違いがあり、また成長する幅も大きく変わります。


しかし、先ほど書きました一定の水準をクリアしてさえいれば、順位は付けども体力的に失格になることは無いのです。


全体の能力を底上げしつつ、優秀な者はより優秀に、そうでない者は自衛官として最低限のライン以上まで育てあげます。

そうすることで隊員の質と量を充実させているのです。


もちろん、優秀であればそれだけ優秀な部隊(空挺とか)に配属されやすくはなりますが、職種による上下は自衛隊には存在しません。


仮に体力が劣っているからとナーバスになる必要は全くありません。

体力に優れる人も同じくらい辛い思いをしています。

自分が特別ダメだなんて思わずに、全力の少し上を目指して日々訓練をしていれば何の問題もありません。


とは言っても体力はつけておいた方がいいですよ

引用元:陸上自衛隊HPより

散々体力がなくても大丈夫(というか辛さは皆おなじ)と言ってきましたが、やはり体力はあるに越したことはありません。

一定の水準と言いましたが、民間から考えればそれなりに運動をしている人のレベルです。


概ね下記の記録が出れば体力検定5級に受かります(記憶が曖昧で申し訳ありません)

  • 腕立て伏せ50回(2分)
  • 腹筋50回(2分)
  • 3,000m走(13分)


少しきつそうに見えますが、教育中によほどサボらない限りは特段厳しい規定ではありません。

自分の同期でも体力のない人はいましたが、級外になった人はいませんでした。


とはいえ、前期教育が終わった後は各職種ごとに特化した後期教育(部隊配属)が行われます。

後期では前期のような体力錬成や反省の腕立て伏せは減りますが、最低限の体力はあるものとして配属されます。


そういった観点からも、入隊前から最低限の運動はして、前期教育でも腐ることなく訓練に励んだ方が、後々に影響をします。

繰り返しになりますが、目安としては、先に記載した内容ができれば特別な心配はいりません。


まとめ

引用元:陸上自衛隊HPより

体力に自信がなくても自衛官として立派に成長することは可能です。

また、班長は経験豊富な中堅隊員のため育て方も熟知しています。

体を壊さず限界を引き上げる鍛え方をしてくれます。


新隊員にもっとも必要なのは諦めない気持ちと自分の限界を決めずに喰らい付く気力です。


自衛官を目指している皆さんには全て備わっている素質だと思っています。

辛いことは多いですが、その分確実に成長します。

極端に不安を感じず、指導を信じて、腐ることなく立派な自衛官になられることをお祈りしています。

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