自衛官は基本的に戦闘服や作業服と呼ばれる、いわゆる迷彩服を着用して勤務に当たっています。
業務によってはシャツ一枚になったりはしますが、通常の訓練においては上衣(上着)を脱ぐことはありません。
気温の変化に対しては袖をまくって対応することは多いですが、その袖まくりですら定められた方法があります。
今回は、自衛隊において統制されている「腕まくり」の方法について解説します。
自衛隊の袖まくり
民間では袖まくりのやり方なんて決まっておらず、各々が好きなようにまくっていますよね。
袖を折りたたんでいく人もいれば、ぐちゃっとまくり上げるだけの人もいます。
自衛隊では袖を折り曲げる方法が決められています。
ただし、折り曲げ方に特徴があります。
- 袖口をめくって脇の位置までまくり上げる。
- めくれた袖をさらに半分にめくります。
- 脇側までまくった袖口を戻し、めくれた生地を隠すように整えます。
効果
なんでも統制したがる自衛隊ですが、この袖まくりも当然意味のある行為です。
まず裏地が見えず迷彩側の生地が表面になるために、迷彩効果を最大限に発揮できます。
自衛隊の使用している迷彩(特に陸自の迷彩パターン)は日本国内の植生に特化しており、被発見率の低下を見込めます。
しかし、普通に腕まくりをすると迷彩服の裏地が露出してしまうため迷彩効果が落ちてしまうのです。
次に、この腕まくりの仕方だと袖を戻すのが簡単という点です。
折り目の構造的に、一番外側になる袖口部分を引くだけで元の長袖に戻せます。
普通にめくっていると、戻すためにはクルクル回していかないといけません。
これは、緊急時に迷彩効果をフルにするというメリットのほか、腕の露出を瞬時に無くすことでの怪我の予防をし、ガス攻撃に対するある程度の防護が期待されます。
まとめ
この腕まくりの方法は、教育隊に入るとすぐに教わります。
全自衛官が持つ基本技術ですね。
なので、映画とかで自衛官キャラが普通に袖をまくっていると違和感を覚えるようになります。
サバゲをやる方はここまで再現するとカッコいいかもしれません。
腕まくり一つを取っても、自衛隊という組織がいかに有事に備えているかが分かると思います。
運用上に政治的な制約がかかることもある自衛隊ですが、現場レベルでは知恵と工夫による効率化が図られているというわけです。
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