大人気ファンタジー作品
メイドインアビス
ふんわりとした可愛らしい画風と裏腹に、きわめてリアリスティックかつバイオレンスな描写が特徴の本作に登場する概念。
上昇負荷(アビスの呪い)
本作で最もユニークな要素ともいえる、アビスという大穴の探査を困難なものとする上昇負荷について考察していきます。
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上昇負荷とは
アビスという大穴に満ちている詳細不明の「力場」によって発生する、原因不明の症状を指します。
簡単に言えば、アビス内で上方向に移動すると発生する人体に対する悪影響です。
この症状はアビス内で深く潜れば潜るほど深刻なものになり、最終的には死を迎えることになります。
この特徴から、別名「アビスの呪い」とも呼ばれています。
アビス内の深度と上昇負荷の関係は以下のようになります。
- 深界一層:アビスの淵
0~1,350m。上昇負荷は軽い目眩と吐き気。 - 深界二層:誘いの森
1,350~2,600m。上昇負荷は重い吐き気と頭痛、末端の痺れ。 - 深界三層:大断層
2,600~7,000m。上昇負荷は二層に加え、平衡感覚に異常をきたし、幻覚や幻聴を見る。 - 深界四層:巨人の盃
7,000~12,000m。上昇負荷は全身に走る激痛と、身体中の穴からの流血。 - 深界五層:なきがらの海
12,000~13,000m。上昇負荷は全感覚の喪失と、それに伴う意識混濁、自傷行為。 - 深界六層:還らずの都
13,000~15,500m。上昇負荷は人間性の喪失、もしくは死。 - 深界七層:最果ての渦
15500mより。上昇負荷は確実な死。
アビスの祝福
上昇負荷の影響のうち、マイナスと言えない効果が含まれていることが判明しています。
通常であれば「呪い」の効果により、人間性の喪失や死を迎えるのですが、何かしらの方法で呪いの効果を回避することで隠された有効な効果である「祝福」を得られるとされています。
それを提唱したのが、かの悪名高き「ボンドルド」です。
彼は「カートリッジ」と呼ばれる装置で上昇負荷による呪いをカートリッジに肩代わりさせることで自信を守っています。
カートリッジの製法は万人受けするほど気持ちのいいものではないので、詳細は省きましょう。
簡単にお伝えするならば、材料は特定の条件を満たした生きた人間です。それをコンパクトにします。以上。
細かい描写が気になる方は是非単行本をご覧ください。
何はともあれ、呪いを回避することで人間性の喪失や死を免れつつも、肉体の大幅な強化(獣化)が可能でした。
上昇負荷についての考察(妄想)
先に私が考えている結論を申します。
上昇負荷は奈落の底にあるものに対する安全装置だと考えています。
呪いについて
世の中で起こる現象は二つの要素に分けられます。
一つは、特に理由なく起こる現象。
自分の行為、そばにいる誰かの行為、一生遭うことのない無関係な誰かの行為、または人間以外の生物の行為など、そういった様々な要素が絡み合い、意図せず偶然生まれた現象です。
世の中の自然現象の多くがこれに該当します。
もう一つは、誰かによって何かの目的のために組み上げられた仕組みによって起きる現象。
この場合は、仕組み、つまりシステムとして構築され、何かしらの条件のもとに再現性をもって発生するよう仕向けられています。
人間が意図的に行う行為のほとんどが該当するでしょう。
ビジネスしかり、人間関係しかりです。
上昇負荷も、何かしらの存在による明確な意図により構築されたシステムであると考えています。
アビスを降りることはできるが、上る(=地上に戻る)ことはできない。
アビス内で何かをしてほしいが、地上には戻ってきてほしくない。
逆に、地上の人間の私利私欲でアビス内の何かを得ることはできない、とも考えられます。
いずれにせよ、明確な一方通行の状態を作り出すシステムです。
また、上昇負荷を発生させる「力場」はアビス内に陽光を運びますが、地上からアビスを光学的に観測することを阻む性質も持っています。
つまり、地上で生きる人間に対してアビス内のことを知られたくないという思惑を感じさせます。
逆に、アビスを潜るものに対しては力場のもたらす陽光は助けになります。
そのことからも、力場と上昇負荷は、アビスを潜るために存在していると考えられます。
祝福について
上昇負荷を発生させる力場ですが、この力場はどこからきているのでしょうか。
安全装置として考えるのであれば、力場の出所は上昇負荷によって守っているナニかでしょう。
つまり奈落の底です。
本来は、奈落の底にあるナニかから離れられないようにする=死ぬようにするのが上昇負荷の目的です。
しかし、ある理由によって地上が奈落の底から遠く離れたことにより、上昇負荷の影響度合いが薄まってきたのだと考えられます。
その結果が深界六層より上の呪いであり、確実な死を与えられなくなっています。
人間性の喪失=精神の崩壊や肉体の変異という薄まった呪いに対して、カートリッジがマイナス面を肩代わりすることで肉体の強化につながる変異が残ったのです。
これは上昇負荷を設計した存在の想定外の現象だと考えられます。
そもそも、深界六層まで核心に近づいた者が地上に戻れては困るのです。
深界七層でカートリッジがどこまで役に立つのかわかりませんが、いずれにしろシステムの穴を突かれたのは間違いありません。
そのため、アビスの祝福は裏技的な方法でしか得られないものであり、上昇負荷の中でも想定外の効果であると考えています。
アビス内の生態系
アビス内の生物の多くは上昇負荷の影響を受けません。
それどころか、上昇負荷を発生させる原因とされている力場を利用し、獲物の動きや考えを読む種まで存在します。
タマちゃんが代表格ですね。
基本的に上昇負荷がかかるのは人間に対してだけです。
アビス内の生態系は、上昇負荷を作り出した存在の意思ではないと考えられます。
その誰かは、少なくともアビスの中で人間が奈落の底まで行くことはできるように上昇負荷を設計しています。
アビス内部の生物の大半は極めて危険であり、潜ることの妨げにしかなりません。
ではなぜ駆除しなかったのかというと、おそらく駆除できなかったのだと思われます。
こちらについては下記の記事にて考察という建前の妄想をしていますので、ご覧ください。
まとめ
作中では上昇負荷は基本的に回避不可能な現象であり、自然の摂理の一部のように扱われています。
上昇負荷をどうにかできたのはボンドルドだけであり、その方法も完全なモノとは言えません。
そう考えると、やはり上昇負荷は明確な意図をもって設計された人為的な現象であると考えてしまいます。
深層に行けば行くほど上昇負荷がきつくなるのは、力場を発生させている奈落の底にある何かに近づいているからでしょう。
この考察や妄想が正しいのかは分かりません。
多分間違っているのだと思います。
つくし卿の頭の中は常に我々の斜め上を行きます。いろんな意味で。
しかし、こういう考察を楽しめるのも、メイドインアビスという作品が面白いからに他なりません。
今後の展開が楽しみで仕方ありませんね。
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