涼宮ハルヒの憂鬱というライトノベルをご存じでしょうか。
のちにシリーズ化、アニメ・劇場化されるほどの人気を誇り、2000年代のオタク文化啓蒙に一役買った名作です。
あえてジャンル分けするのであればSFになるのでしょう。
神に等しい現実改変能力を持つ「涼宮ハルヒ」という少女を中心に、彼女に関心を寄せる複数の組織とその構成員が繰り広げるストーリーとなります。
この記事では、未来人勢力としてSOS団に所属する「朝比奈みくる」について解説をします。
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朝比奈みくるとは
部室専用のエンジェル
と主人公のキョンが称する通り、
非常に愛くるしい見た目と挙動、
さらには作中でナイスバディとされるハルヒをも上回る巨乳の持ち主、
という、まさに美少女と言える風貌を持った高校2年生です。
彼女はSOS団の活動及び、異常事件においては基本的に巻き込まれ役で、現代にいる彼女が何か役に立つということは稀です。
彼女の正体は端的に言えば「未来人」です。
以下にその正体を詳しく解説します。
未来人としての朝比奈みくる
前述の通り、彼女の正体は未来人です。
いつ頃の年代から現代に渡航してきたのかは不明です。
しかし、
- 浴衣を着たことがない、見たことがない
- 夏祭りを体験したことがない
- 船が浮力で水に浮くことを言われるまで気付かない
など、現代の文化常識が薄れてしまうほどには未来のようです。
彼女が現代に派遣された理由は、
涼宮ハルヒが起こした時間震動の調査です。
作中現代から3年前に発生した原因不明の現象であり、詳細は不明なもののそれ以前の過去に移動することができなくなるほどに時間に断層を作った現象のようです。
彼女はそれを調査するために派遣された調査員の1人です。
というのは、あくまで目的の一つでしかありません。
未来人派閥の目的
朝比奈みくるが所属している派閥の他にも、未来人派閥というのは存在します。
作中に登場するのは「藤原」のみですが、「朝比奈さん(大)」のセリフから、複数の派閥があることは確実です。
各派閥の目的はズバリ
「自身の世界が歩んできた歴史を人為的に固定すること」
です。
歴史というのは流動性の高いもののようで、過去に何が起こるかにより未来が変わるという性質を持っています。
つまり、ターミネーターやドラえもんなどに見られるように、過去を変えることで未来を変えることができるのです。
基本的には可能性の数だけ未来は存在し、そこに生きる人々もまた存在します。
しかし、未来が固定されるフラグがたち、それ以外の可能性が排除されるたびに、そこから繋がらない未来は消滅してしまうのです。
例えば、のび太とジャイ子が結婚する未来に生きる人々は、のび太としずかちゃんが結婚することが確定した瞬間に消滅するのです。
つまりは、世界の消失です。
各未来人派閥は、自身の世界を守るために、それ以外の可能性を排除するために活動する工作員を送り込んでいるのです。
ドラえもんでいえばセワシくんやドラえもんが、ターミネーターならカイル・リースやT800他のターミネーターがその工作員に該当します。
ドラえもんやバック・トゥ・ザ・フューチャーのように個人の私利私欲のために過去を改変するのではなく、どちらかと言えばターミネーターのように種の存続のために組織的に過去改変をしようとしているのです。
朝比奈みくる と 朝比奈さん(大)
前述の通り、現代に派遣されている朝比奈みくるは、ほとんど役に立つことはありません。
彼女は何の知識も与えられずに、未来にいる上司に該当する人から限定的な指示を受けながら活動しているにすぎません。
そのため、自分が何をしているのか、自分の行いの結果どういうことになるのかを全く知らないのです。
Need-to-knowの原則(知るべきのみを知る)が徹底された組織構造と言えるでしょう。
その理由は、知るべきこと以上を知ると、私利私欲のために時間を操作する可能性があったり、他勢力に利用される恐れがあるためです。
そして、朝比奈みくるに指示を出しているのが「朝比奈さん(大)」とキョンに呼称される未来の朝比奈みくるです。
妖艶な美女というべき見た目に成長した彼女は、状況によっては現代に干渉はするものの、基本的には朝比奈みくるに指示を出すことに徹しています。
自分が過去の自分に指示を出すというのは、今いる自分やその世界を守るために不正をすることはないという考えからです。
自分が経験してきた通りの歴史を、過去の自分に経験させることで未来を確定させるのです。
そのために、以下のようなさまざまな行動を朝比奈みくるに取らせます。
- 3年前のハルヒとキョンをあわせるためにタイムマシン(T.P.D.D)を使用させる。
- ある革新的な発明をする少年のために未来由来の装置を発見させる。
- 重要人物が結婚するための出会いを確定させるために怪我を誘発させる。
作中に描写されていませんが、おそらくこの手の工作を日常的に行っているのでしょう。
当然彼女は指示に従っただけで、その結果何がどうなるのかは知りません。
朝比奈さん(大)は、立場上キョンにはさまざまな説明をします。
しかし、これはキョンはそれを知っていなければならないということを意味します。
SOS団の一般人代表を自他共に認めるキョンにも何か役割があるということが分かりますね。
時間移動について
彼女たちが時間移動をする際には「T.P.D.D」と呼称されるタイムマシンの一種を使用します。
タイムマシンといっても物理的に装置が存在するわけではなく、使用者の脳内に無形で存在する物のようです。
正式名称はTime・Plane・Destroyed・Device。
訳すならば「時間平面破壊装置」となります。
作中における「時間」というのは、連続性のあるものではなく、人間には認識できない境目で仕切られた構造になっています。
例えるならばパラパラ漫画と同じような構造になっています。
T.P.D.Dを用いた時間移動とは、時間平面に穴を開けて任意の時間に移動するという方法になります。
長門曰く、情報統合思念体のような人知を超えた存在からすると「不完全な方法」とのこと。
時間平面に穴を開ける都合、時間連続体に少なからず影響を与え、従来の時間の流れとは異なるものにしてしまいます。
それを修正するためには、さらにT.P.D.Dの使用が不可欠であり、また穴が空いて…と、時間移動技術としては未熟な物であるようです。
そのため、使用は未来の許可制であり、現場担当者の独断で使用することはできません。
禁則事項
朝比奈みくるや藤原の口からは度々「禁則事項」という言葉が発せられることがあります。
会話対象が知らないことを伝えようとすると、「禁則事項」としか言えなくなる催眠のことです。
時間を移動する際には情報保全のための催眠を受けることが義務となっています。
そのため、
- 未来では〇〇はどうなっているのか?
- これから何が起こるのか?
- T.P.D.Dとは何か?
といった質問に対しては「禁則事項です」としか返答できなくなるのです。
他にも自発的に伝えることも制限がかかります。
藤原はそれにイラついていましたね。
しかし、会話対象が知っていることを伝える際には禁則事項が解除されます。
その例として、当初はT.P.D.Dの正式名称を知らなかったキョンは禁則事項として教えてもらえなかったのですが、
後に禁則の緩和された朝比奈さん(大)にT.P.D.Dの正式名称を教えられたキョンが、再度朝比奈みくるに尋ねると、禁則が解除されて伝えることができるようになっていました。
現代技術では想像もつきませんが、状況によってフレキシブルに変化する催眠技術のようです。
これは、敵対組織による尋問や拷問に対しても強固な情報保全力を発揮するでしょう。
まとめ
朝比奈みくるの正体を一言で表すならば
工作員
という言葉がしっくりくるでしょう。
自身の世界を守るために、それ以外の世界を犠牲にしつつも、あらゆる手を講じて行動しています。
朝比奈みくるや、その他の構成員にその自覚がなくとも、彼女たちの行動によって滅んでいった世界があるはずです。
一般人の目につかないところでは血みどろの抗争が繰り広げられているのでしょう。
これは、小泉の所属する「機関」や、長門の母体である「情報統合思念体」も同じです。
各派閥は自身の目的に反する敵対組織との勢力争いをしつつ、何が起こるかわからない涼宮ハルヒという爆弾を取り扱っているのです。
そして、その爆弾の起爆にも解除にもカギとなるキョンは、実は非常に重要なポジションにいるのです。
物語の語り部であるキョンが遭遇する数々の事件も、氷山の一角に過ぎず、裏で世界を守るために活動している人がいると言うのが示されているのも涼宮ハルヒシリーズにおけるテーマの一つかと私は考えます。
物語が進むにつれて、キョンの巻き込まれる事件は壮大になり、その裏では多くの思惑が錯綜しています。
こういった世界観を楽しめるのも涼宮ハルヒシリーズの魅力でしょう。
今ではKindleでも全巻揃っていますし、改めて読み直してみると色々な発見があるので、ぜひご一読いただくことをお勧めします。
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