ホラーSFゲーム「DEAD SPACE」シリーズの主人公を務めるアイザック・クラーク。
ゲームのコンセプト上、彼は非常に悲惨な目に遭い続ける苦労人です。
例をあげれば、恋人が自殺していたり、マーカーと呼ばれる物語の根幹に絡むオブジェクトに気に入られたり、身体をバラバラにしたりされたりといった具合です。
半面、彼は「宇宙最強のエンジニア」という非常に独特な称号をネット民から勝手に与えられています。
この記事では、リメイク版も発売されたDEAD SPACEの主人公、アイザック・クラークについて解説します。
ネタバレありです。
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職業はエンジニア
アイザック・クラークは、作中では珍しい地球生まれの人間であることが明かされています。
父親は建築関係で偉業を遂げているようですが、その詳細なデータは政府により閲覧規制がかけられ、さらに父親本人は行方不明という有様です。
父親のおかげもあってか、当初は実家も裕福だったようです。
しかし、大学を卒業するころには、とある理由で母親が家財のほとんどを宗教団体「ユニトロジー協会」に寄付してしまったことにより、一気に貧しくなってしまいます。
そのおかげで母親は教会内でかなり高い地位まで上り詰めることができたようですが、アイザックにはユニトロジーに対する悪感情が植え付けられます。
優秀な成績だったアイザックは偏差値の高いエンジニアスクールを勧められますが、実家の資金難から一般の大学に通っていました。
卒業後、商船海兵隊と呼ばれる軍事組織に入隊し、工兵として勤務しました。
任期を満了した彼は、C.E.C社に再就職し、システムエンジニアとして働くことに。
持ち前の優秀さでC.E.C内においては上級技術者として認定されていることが、作中の様々なシーンで確認することができます。
彼の持つプラズマカッターも上級職員だから使用できるという設定もあるようです。
私生活においては、社内恋愛をしており、医官のニコール・ブレナンという女性と同棲していました。
しかし彼女が会社保有のプラネットクラッカー船「USG石村」で勤務することになり遠距離恋愛となります。
それがきっかけで地獄のような体験をすることになるのですが。
ちなみに、このUSG石村がデッドスペース1作目およびリメイク版の主な舞台となります。
最強と呼ばれる所以
上述の通り、海兵隊での経験により基本的な戦闘訓練は行っていますが、あくまで工兵であり、どちらかと言えば技術職の隊員でした。
その後に民間企業のC.E.Cでエンジニアとして働き、着々とエンジニアとしての技能を身に着け上級技術者となっています。
つまりどういうことかというと、彼は兵士でもなければ秘められた力を持った戦士でもないということです。
元海兵隊員と言いつつも、年齢的に20年ほど前に短期間勤めていたにすぎず、その後は単なる(優秀な)サラリーマンとして平凡な人生を過ごしていたのです。
軍隊経験があることの優位性をあげるならば、せいぜいパルスライフルと呼ばれる作中の個人携行火器の使用方法を知っているくらいでしょうか。
では本題です。
彼が最強と呼ばれる所以は、前に進み続けることができるメンタルの強さにあります。
シリーズ内での彼の行動の原動力はおおむね以下のようになります。
- 1作目ではニコールのため。
- 2作目ではネクロモーフ災害の封じ込め(マーカーの破壊)のため。
- 3作目では2で共に生還し交際を始めたエリー・ラングフォードのため。
簡単に書くとあっさりしていますし、王道のような状況ではあります。
しかし、このシリーズはアイザックを苛め抜くことを使命としているのか、シンプルに物事を進めさせてくれません。
- 1作目ではニコールは既に死んでおり、マーカーによる幻影を見せられている。
- マーカーの破壊方法をニコールの幻影が教えてくれているかと思いきや、マーカー由来の認知症を発症させられており起動させるカギとして利用される。
- エリーとは破局し彼女は行方不明。彼女の手掛かりを掴んだ今カレの相棒とともに(拉致同然で)救いに行く中、ユニトロジー協会から神聖なマーカーを破壊できる危険人物として命を狙われ続ける。
上記については、物語の大筋に関しての記載です。
他にも細かなところでアイザックの鋼のメンタルが発揮されます。
- 目の前で人間が首を切って自殺したり、ネクロモーフにバラバラにされても殆ど狼狽えない。
- 目覚めると拘束衣で動けなくている状況で、目の前の人物が急速にネクロモーフ化して襲い掛かってきても頭突きで先手を取って逃げ出す。
- 倒れたネクロモーフや人間の死体をバラバラになるまで蹴り続ける。
- 密室にてネクロモーフが迫る状況下で、手術用のレーザーと懐中電灯を即席で組み合わせてプラズマカッターを作り出す。それも数秒で。
まとめ
彼は単なる技術者でした。
そして、彼にはどうすることもできない、全く関係のない様々な要素が絡み合った結果、地獄のような日々を送ることを強要されているのです。
そんな凶器に満ちた状況においても、彼はマーカーによる特殊な認知症にかかってりつつ正気を失わず、愛用のプラズマカッターを手にネクロモーフや敵対する人間をバツンバツンと切断して前に進むのです。
しかし、上述の通り彼は伝説の兵士でもなければ特殊能力を持ったヒーローでもありません。
妙に格好いいスーツも、基本的には作業着と溶接マスクの発展型のようなものです。
当然、プレイヤーが正しく導かなければ、地獄のような環境をアイザックは生き抜くことはできません。
彼の死において、身体を貫かれたり、手足を引きちぎられるのは特に珍しくありません。
その際も、苦痛に体を震わせ、残った手足をなけなしの力で振るって抵抗しますが、ネクロモーフ(や荒ぶる扉など)には通用しません。
死の瞬間まで彼の苦しむ姿を見せられるのです。
過剰なほどのゴア表現は、ホラー的演出のほかに、ゲームオーバーに対する忌避感を狙ったものとされています。
特にアイザックの死亡シーンは、デッドスペースシリーズにおいて特に力を入れたものとなっており、同じ敵であっても複数のバリエーションが存在します。
宇宙最強のエンジニアという称号が勝手に与えられつつも、彼は単なるサラリーマンで、ただの中年のおじさんなのです。
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