いまさら紹介する必要もないほどに人気となった「がっこうぐらし!」ですが、作品について簡単に紹介します。
人々をゾンビ化させる細菌が蔓延した世界で、生存者の女子生徒たちが学校に立てこもって生活する話です。(物語中盤で学校を出ることになりますが…)
学校内の3Fを封鎖することで生活環境を獲得していますが、学校外どころか世界中にゾンビが蔓延している状況です。
そんな絶望的な世界で、生き残りをかけて活動する「学園生活部」のお話です。
原作者の考える設定
京都SFフェスティバル2022にて、原作者の一人である「海法紀光」氏が核心的な情報を開示しました。
(あくまで原作者が言っているだけなので公式設定ではないと前置いていましたが、原作者である以上は公式設定でしょう)
世界の仕組み
学園生活部が暮らしている世界は、我々の暮らす世界とはよく似ていますが、決定的な違いがあります。
作中の世界は「異次元からの侵略を受けている」というのです。
その結果、ゾンビ(かれら)の発生を始めとした様々な怪異が作中世界に蔓延るようになりました。
侵略してくる敵はどこから来ているのかというのも明言されており、スティーブン・キング氏が執筆した「ダークタワーシリーズ」に登場する「暗黒の塔」です。
ダークタワーとは
本作はキング氏が30年ほどかけて執筆した大巨編SF小説です。
ダークタワー(暗黒の塔)の解説を簡単にすると以下のようになります。
- 無数に存在する宇宙・世界を一点にまとめて支えている塔。
- 塔が崩壊すると支えられている全世界も連鎖して崩壊する。
- 塔を経由することで別の世界に干渉できる。
このような特徴を持っており、キング氏が執筆した「it」や「シャイニング」、「ミスト」などの全ての作品世界がダークタワーを経由してつながっている設定になっています。
侵略を阻止する方法
海法氏の考える設定では、ダークタワーからの侵略に際して、事前に「電波」が放射されるようです。
その電波を受信できる人間が少数存在しており、受信者にとってはインスピレーションとして認識されます。
そのインスピレーションを基にして物語として世の中に発表することで、侵略を「フィクションにしてしまう」ことが可能だというのです。
我々の住む現実世界においては、ジョージ・A・ロメロ氏が「ゾンビ」という映画を発表したことでゾンビはフィクションの存在になりました。
また、スティーブン・キング氏がダークタワーを執筆したことで「ダークタワーを経由した侵略そのもの」をフィクションにすることに成功しました。
そのため我々に世界には異次元からの侵略は発生していないのです。
しかし、作中世界ではロメロ氏もキング氏も、上記のような著作を発表する前に死亡しており、ダークタワーからの侵略が起こっているのです。
ゾンビだけではない
上述の理由で、作中世界においては異次元からの干渉により、ゾンビ(かれら)が発生してしまいました。
作中にて一貫して「ゾンビ」と呼称されないのは、「ゾンビ」という概念が存在しないためです。
ロメロ氏の早期の死去に伴いゾンビ映画というジャンルは生まれず、吸血鬼の要素と融合した「感染性の動く死体」としてのゾンビは存在しないのです。
本作のゾンビは細菌により死体が動いているものですが、大元としてはダークタワーからの異次元からの干渉によります。
そして実は、作中で描写されていないだけで、キング氏が執筆した様々な作品に登場するアノマリーも跋扈している世界だと明言されています。
アメリカでは「it」に登場するピエロなどがうろついており、おそらく今後も侵略が進むにつれて「ミスト」などの様々な化け物が発生するのでしょう。
まとめ
「がっこうぐらし!」では、作中にてゾンビ災害の問題について”は”一応の解決を見られます。
しかし根本的には、上述の理由から我々の世界とは全く異なる問題を抱えています。
例えばゾンビの次はピエロ、ピエロの次は殺人超能力者、その次は霧と共に敵対的な化け物が出てくるかもしれません。
逆に我々の世界で起こる現象は、もしかしたら他の世界では阻止された侵略によるものかもしれないという妄想を広げることもできます。
隣の世界では、核兵器や戦争という現象はフィクションにしか存在しないのかもしれないのです。
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