現代日本の寒村を舞台にしたジャパニーズモダンホラーゲームの先駆け
SIRENシリーズ
本シリーズは以下の3作品が展開されています。
- 初代の「無印」
- 続編の「2」
- 無印のリメイク「New Translation」
※無印とNTはほぼ同じ設定なのでまとめてしまいます。
無印(NT)と2は同じ世界観の物語であり、さらにシリーズ共通の敵として「屍人」という不死身の怪異が登場します。
不死身かつ一見すると不気味なゾンビめいた外見で、どちらの屍人も同じに見えますが、実は発生の原因から異なる根本的に別種の怪異となります。
今回は「無印の屍人」と「2の屍人」の違いについて解説していきます。
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初代と2の違い
シリーズ作品に登場しており、見た目も似ているし殺すこともできない、その上名前も一緒となると同じ存在と考えてしまうのも仕方ないでしょう。実際、物語や設定を読み解いていかないと違いが分かりません。
同じ世界線での出来事とは言え、作中の登場人物は無印と2の双方で怪異に遭遇したわけではないため、屍人の違いにフォーカスが当たることもありません。
屍人の違いについて簡単に解説すると以下のようになります。
- 由来が異なる。
- 不死性が異なる。
- 行動原理が異なる。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
初代の屍人
由来
無印(NT)の屍人は「赤い水」を体内に摂取した人間が変異する不死身の怪人です。
赤い水は神様の一種である「堕辰子」の血液であり、異界化した羽生蛇村の水は全てこの「赤い水」に置き換わっています。この水が体内に入った状態で死亡する、もしくは一定量を取り入れてしまうと変異が起こり屍人化します。
ちなみに「堕辰子」はいろいろあって大昔の羽生蛇村住民に殺されており、それが原因で村が呪われ異界化しています。が、長いのでここでは省きます。
不死性
各個体が完全な不死性を持っています。
頭を銃で撃とうが心臓を杭で貫こうが時間をかけて再生します。厳密に定義するなら「不死身」というより「蘇生能力」のほうが正しい表現かもしれません。どちらもそう変わりませんが。
ゲーム内ではプレイヤーからの攻撃によって倒されると、一定時間その場にうずくまり、時間経過によって再度活動を始めます。
そのため、敵を一掃してからノンビリ探索するといったプレイスタイルは不可能です。
行動原理
堕辰子が住んでいた神の世界に受け入れられ、神と一つの存在になることを最大の目的としています。作中で描かれる「海送り」と「海還り」は神の世界へ誘われるプロセスです。
ほかにも、八尾比沙子(NTはアマナ)が行う「復活の儀式」によって降臨する堕辰子(日光に弱い)のために建築物を改装して日の光が一切入らない空間を作り出す一団もいます。
人間を襲うのは「自分たちがいる素晴らしい世界に招いてあげる」という善意100%な理由からです。屍人の世界は悩みはなく明確に神の存在を認識でき、最終的には神と一つになれる救いに満ちた世界なのです。
2の屍人
由来
2の屍人は「屍霊」が人間の死体に入ることで発生する動く死体です。
屍霊は現行の生態系が生まれる遥か以前に地球を支配していた種族の成れの果てです。太古の地球に光は存在せず、「光の洪水」とされる現象によって地表を追われています。
支配種の多く(闇霊)は異界を避難先として光から逃れましたが、一部は逃げ遅れてしまい水底深くに身をひそめることになります。水中深くといっても光の影響から完全に逃れることはできず、段々と性質が劣化し「屍霊」と呼ばれる劣化種になってしまいました。
死体を無理やり動かしている関係から、動きはぎこちなく知能も高くありません。発する言葉もたどたどしく、そのあたりは初代の屍人に似ています。
ちなみに異界に逃げ延びたたらこ闇霊も人間の死体を動かしています。そちらは「闇人」と呼ばれ屍霊由来の屍人より強力ですが、ここでは趣旨から外れるので割愛します。
不死性
2の屍人は疑似的な不死身と言わざるを得ません。
初代の屍人同様に一定のダメージが入ると動かなくなり、時間経過によって活動を再開します。しかしそのメカニズムは全く異なります。
こちらの屍人は人間の死体を屍霊が操っている関係上、一度倒されたら屍霊は身体から離れてしまいますが、他の屍霊が同じ死体に入ることで見た目上は復活します。
動かす身体は同じものですが、内部的には新しい屍霊が操っていることになります。パイロットが交代することで動き続けるロボットのようなイメージです。そのため、周囲の屍霊を駆除すると再生しなくなるという欠点もあります。
余談ですが、闇人はより強固な不死性を持っています。人間の死体を殻として利用するのは変わりませんが、死体をそのまま使うのではなく細胞を変質させて各種行動に最適化した変異を遂げます。また、闇霊は生命力を共有しているため本当の意味での再生で不死身となっています。
目的
屍人の元になっている屍霊は、光の洪水の際に逃げ遅れた勢力だと説明しました。彼らは長い年月を冷たい水底で過ごす中で一つの塊となります。それが堕慧児と呼ばれる屍霊の集合体です。
堕慧児は自分たちを置いて異界に逃げ去ってしまった闇霊(母胎)を妬みつつも、また一緒になりたいというめんどくさい複雑な感情を持っています。
屍霊を異界に取り込まれた夜見島に送り込んだのも、母胎が似たようなことをしていることを本能的に察知し、それをまねているだけに過ぎません。
母胎は地上奪還のために異界から闇人を放つ準備をしていましたが、遠い昔に分派した劣等種である堕慧児のことなど気にもしていませんでした。
しかし堕慧児は未だに母胎と一つになりたい思いはありつつも見捨てられた恨みもあることから敵対関係となってしまいます。性質が劣化している屍霊や堕慧児は碌な行動原理を持ちません。自らの思いの狭間で暴走してしまっているともいえるでしょう。
人間を襲うのは屍霊の殻の確保のためであり、初代の屍人に比べて殺意マシマシの存在です。
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