サメだ、殴れ
皆さんはSPCという団体をご存じでしょうか。
The Shark Punching Center(サメ殴りセンター)
彼らは人知れずサメを殴っています。
そう、サメを殴るという崇高な目的のために。
この記事では、SCP財団から派生した「SPC」の紹介をします。
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概要

SPCという要注意団体の発足は、かなりメタ的な要素によるものでした。
今でこそSCP財団はかなりの知名度を持ち、各種メディアで取り上げられたり、YouTube等でも多くの解説がされています。
このネットミームの黎明期によく起こったのが
SCPをSPCと誤記するというスペルミスでした。
私も財団日本支部のアカウントを持っているのですが、当初はどっちだったっけと迷いました。
何となく語感的にも、エスシーピーよりエスピーシーのほうが言い易く感じるのは私だけでしょうか。
そんなミスが多発する中で皮肉を込めて、
「SPCってなんだよ、Shark Punching Centerの略称か?」
といったジョークが生まれ、そこからじわじわと発展したミームなのです。
当初は内輪ネタにすぎなかったのですが、だんだんと肉付けがされていき、今では要注意団体として認められるに至ったのです。
なぜ人気が出たのか

海外のインターネット掲示板に4chanというものがありまして、日本の2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)と同等の掲示板サイトです。
SCP財団の初期メンバーの多くが4chan出身者であったこともあり、「サメ」という概念がそもそも人気でした。
それは何故か。
サメを取り上げた作品で大人気なものと言えばジョーズがあります。
ジョーズは人食い鮫との恐怖の戦いを描いたモンスターパニック映画の傑作です。
その人気にあやかったのかは不明ですが、いわゆるB~Z級映画でもサメは登場します。
それらのサメの恐ろしさたるや、
- 砂の中を泳ぐ
- 陸地を泳ぐ
- 頭が複数ある
- 食性がベジタリアンである
- 竜巻に乗って襲来する
- チェーンソーを装備する
- 悪魔に取りつかれる
- タコと合体する
などなど、挙げれば枚挙にいとまがありません。
もう海を泳ぐことの方が珍しいですね。
これらのいわゆる「お馬鹿サメ映画」は日本も含めてカルト的な人気を誇り、4chanでも当然ネタとして昇華されています。
つまり、サメ殴りセンターという概念は財団黎明期のメンバーにとって極めて受け入れやすいミームだったのです。
活動目的

サメを探し、見つけ、殴る。
彼らの目的はこれのみであり、そのための努力を惜しみません。
財団と同等の技術を持ち、必要に応じてアノマリーも使用します。
ちなみに彼らの目的はサメを殴ることであり、人類の保全は二の次です。
構成員単位でみれば人々を救うためにサメを殴ろうとしている人もいますが、組織としてはサメを殴ることのみが目的です。
報告書フォーマット
SPCも財団同様に発見したサメについての報告書という形式で記事となっています。
分類
オブジェクトクラスに相当する項目です。
発見されたサメをここで分類しますが、シュモクザメとかホオジロザメなどのような普通の分類がされることが多いです。
鮫殴打特別対策(Shark Punching Contingencies)
特別収容プロトコルに相当する項目です。
対象のサメをどのように殴ったのか、もしくは殴ろうと計画しているのかについて詳細に記載されます。
概要
説明に相当する項目です。
対象のサメがどのような特徴を持っているのかが記載されます。
実例紹介
SPCが確認し実際に殴打した、もしくは殴ろうとしているサメについて幾つか紹介します。
大半のサメはSCP財団のほうで元ネタがあり、そのオマージュやパロディとなっています。
SPC-169-J
財団が確認しているSCP-169をサメであると認識し積極的に殴打しようとするプロジェクトです。
SCP-169は全長2,000~8,000㎞ほどある海棲の大型節足動物です。
そのあまりの大きさから、財団は物理的に収容不可能としてKeterクラスに分類しています。
現在SCP-169は休眠期であるようで動き出すことはないのですが、寝息の呼吸で定期的に広域に規模の大きな地震を発生させています。
もし動き出そうものなら地上に甚大な被害が出るのは確実であり、財団としては動向を注視しています。
できることはありませんが。
要するに馬鹿でかいムカデなのですが、SPCの彼らは以下の理論によりこのムカデをサメだと判定しています。
- 海に棲んでいる
- イルカより大きい
- 身体に尖っている個所を有する
つまりサメである。
ちなみにSPC内にはこの識別方法に異を唱える人物がおり、この基準ではクジラやシャチもサメになってしまうと提言しています。
また、この生物の大きさに比例して「鮫殴打特別対策」も極めて大規模です。
- 衛星軌道から拳型の質量兵器を投下。
- 殴打用の大陸間弾道弾の斉射。
- ボクシンググローブを取り付けた小惑星をぶつける。
- 生物体表に数百の掘削リグを設置し、数年に渡って穿孔(パンチ)する。
- 【削除済み】にボクシングを習わせて対決させる。
上記の殴打計画「プロジェクト・エイハブ」が進行していますが、この生物を殴打することで身じろぎでもされると、当然大規模な地殻変動が起こります。
殴打することが人類の滅亡につながりかねないとの懸念がありますが、それに対するセンター管理者の回答は以下のシンプルなものでした。
「それでも殴ることはできる」
SPC-1057
元ネタはSCP-1057であり、AWCY(要注意団体:アートテロリスト)が作り出したオブジェクトです。
SPC-1057は全長5mほどのイタチザメの形状をした空間です。
光の屈折率が大気と同等のため、ほぼ完全な不可視のサメですが、エサに混ぜた非消化性の蛍光色素により輪郭を見ることが可能です。
このサメは実際に生きており、生命活動を行っています。
公立プールで数名を殺傷する事件の後にSPCに確保されました。
このサメを殴打する実験では手ごたえはなく、質量が無いようですが、水を押しのけて泳ぐことが可能であったり獲物を食することが可能など、未知のメカニズムを有しています。
このサメはオリジナルと同じようにAWCYによって作られたようで、テーマは「実在しなくともサメという概念が人をパニックに陥れる」のようです。
SPC-1373
元ネタはSCP-1373であり、要注意団体のワンダーテインメント博士の作品です。
こちらではフィンターテインメント博士の所有物とされています。
単眼かつアルビノの奇形のサメ(ドタブカ)であり、妊娠中のドタブカを捕獲して殴ったのちに子宮内から発見されました。
ちなみにサメには胎生の種類もいます。
このサメの幼体は生存している可能性が高いため、母サメから帝王切開で取り出したのちに殴りつけて調査したところ、背びれを動かすと単眼の眼球から高出力レーザーを照射する機能があることが判明しました。
その威力たるや、殴りつけようとした拳を焼き切るほどの高出力でした。
しかし、このサメの幼体はレーザーの発する熱に自身の脳が耐えられず、発射後に死亡してしまうという欠陥も持っていたことが判明しています。
その結果、発見された計6体のSPC-1373は殴打して調査する過程で全て死亡してしまいました。
まとめ
何事においても、悪ふざけから生まれる要素があります。
このSPC、サメ殴りセンターも同じです。
初めは内輪でちゃかし合っていただけのネタが、ここまで大きなミームとして認知されているのです。
ここでは割愛しましたが、SPC関連の記事にはかなりシリアスかつ凄惨なものもあります。
それもサメを殴るという至上命題のせいでコメディっぽくなるのですが…。
ふざけたことを真剣に行った時にこそ、面白いものが出来上がるというのもあるのかもしれませんね。
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