今回ご紹介させていただきますのは
「バツイチで泣き虫なおとなりさん」
です。
漫画家の「十五夜」氏のTwitterで連載されているラブコメ漫画ですが、多方面で人気を博した結果、単行本化されました。
私も連載初期からTLに流れてきたのがきっかけで氏のアカウントをフォローし現在に至るまで、この「バツ泣き」をはじめ、氏の連載されている漫画を楽しんでいます。
「バツイチで泣き虫な」落合さんと、アパートの隣の部屋に住んでいた沢渡君が繰り広げる甘々ラブコメディーになります。
本記事は、ネタバレ注意の感想記事です。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
バツ泣き連載のきっかけ
単行本のあとがきによると、
十五夜氏が別の商業連載を獲得された際に、話を練りに練りまくった結果、
「たまには気軽に漫画を描きたい」
とストレス発散のために始めたのがきっかけだったそうです。
誰に気兼ねするでもなく自分の好きなものを作るのはクリエイターならとても楽しいものなのでしょう。
趣味と仕事の境界があいまいになると、いろいろなしがらみがあるのでしょうね。
そのため、散歩中にアパートを見かけ「アパートでお隣さんと仲良くする話」にしようと思いつき、
自身の好みで落合さんのキャラクター像を組み上げていくといった工程が踏まれたそうです。
自分に自信がない感じで、髪はプリンで、胸はでかい女性…
あらすじと感想
当初は十五夜氏が自ら言われていたように、Twitterで始めたお気楽な漫画作品だったようですが、
さすがプロといいますか、連載が進むにつれて引き込まれていく面白さがありました。
主人公は落合さんと沢渡君ではありますが、基本的に心情の描写がされるのは落合さんが大多数です。
落合さんの作品開始時点でのステータスはかなりどん底で、
結婚はしたものの旦那さんと相性がなかなか合わずに離婚をしてアパートで独り暮らしをしていました。
その結果、もともと引っ込み思案で涙もろい性格だったのに拍車をかけてしまったようです。
沢渡君の落合さんへの最初の印象も「なんだか暗い人だ」でしたし、時折壁の向こうからすすり泣く声も聞こえいていました。
落合さんは、作品開始時点では完全に自分に自信を無くしてしまっていたのです。
当初はお隣さんというだけで落合さんと沢渡君の関係は希薄でした。
しかし、夜道で落合さんが酔っ払いおやじにセクハラまがいの絡み方をされているところを沢渡君が助けたのがきっかけで二人は急接近していきます。
急接近と言っても、「助けられて惚れた」とかいう安直なものではありません。
落合さんを助けるために沢渡君は酔っ払いの頭を鞄でぶん殴ったのですが、その酔っ払いが取引先の偉い人で会社から謹慎を言い渡されてしまったのです。
酔っ払いのほうが世間体は非常に悪いでしょうけど、理由はどうあれ暴力を使ってしまった以上、ある程度の処分は仕方ないでしょうね。
それに責任を感じた落合さんが、せめてもの罪滅ぼしを申し出たところ、
沢渡君から食事を作ってくれるようお願いされるところから二人の物語は本格的に始まります。
それにしても、ぶん殴るのはコメディ的なものだと目をつぶっても、
絡まれている人を躊躇なく助けられる人はどれくらいいるでしょうか。
私は確実にできる、とは言えませんね。
その後も沢渡君の底なしの優しさと良い男ムーブで落合さんの心はどんどん溶かされていきます。
落合さんも前夫との相性は合わなかったようですが、決して無能だとか性格が悪いというわけではありません。
逆に沢渡君にとっても落合さんの気づかいや性格は惹かれるもので、一緒にいるのが楽しいとことあるごとに言っています。
まさに「惹かれあうべくして惹かれあう関係」を二人は築いていくことになるわけですね。
その後さまざまな出来事を経て、二人は互いの好意を明確にし、同棲を始めることになります。
その際の二人のやり取りは必見ですので是非作品をご覧ください。
当初は過去の離婚に起因する前夫との辛い記憶を思い出し暗い顔をしていることが多かった落合さんですが、話が進むにつれて沢渡君との未来を思い浮かべることにシフトしていきます。
落合さんの回想という断片的な情報しかないので推測の域を出ませんが、前夫は落合さんの価値観とは全く相いれなかったようです。
それでも、不仲の原因は自分にあると思い込んでしまうあたり、自罰的な性格の強い女性であることがうかがえます。
自己肯定感が極めて低く、酔っ払いに絡まれるという自信に全く非がない不運にすら、うまく対応できない自分を責めていました。
そんな彼女にとって、物おじせずに善意をぶつけてくれる沢渡君という存在は、まさに凹凸がぴったり合うような相性の良さだったのでしょう。
現時点まで連載されている話の中では沢渡君の内面が描かれることが少なく、落合さんに明確な行為を抱いている描写は少なかったので、今後は彼がどのように考えていたのかが分かるお話があることを期待しています。
ちなみに
「凹凸がぴったり…」と言えば、十五夜氏は成人向けのイラストを多数描かれています。
18歳以上の良識あるアダルトな皆さんは、ファンティアやピクシブファンボックスで有料支援することで楽しむことができますよ。
バツ泣きや、その他の作品のR18イラストを精力的に描かれており、物語のスパイスとして楽しめます。
まとめ
十五夜氏の描かれるキャラクターは、独特の絵柄ではありますが、どれもキャラの立ったものです。
お話もそれぞれが安直なものではなく、「次はどうなる」という思いに支配されてしまうほど面白いものです。
続巻が発刊されるかは未定のようですが、Twitterではコンスタントに更新が続いています。 いつの日にか、二人の新しい生活を描いた単行本が販売されることを祈っています。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
コメント