「コマ koma」さんという漫画家の方がTwitterに投稿し、のちに書籍化された作品です。
TLに流れてきた際に出会い、即日kindle版を購入しました。
恋愛漫画としては私にとっては珍しく、何度も読み返してしまうほど気に入ってしまいましたので、感想記事を書かせていただこうと思います。
ちなみに作中に性描写があるため18歳以上向けとなっています。
概要

軍人の「立花誉」と、農村の娘「田中花」を主人公にしたロマンス作品です。
誉が田中家へ婿養子に入ったところから物語が始まります。
(祝言後は田中誉になります)
時代は明記されていませんが、誉の着用している軍衣が45式軍衣か昭5式軍衣かと思いますので、
明治45年(大正元年)から昭和20年のどこかでしょう。
誉が実戦経験者であるとのことですので、もっと絞れるかもしれません。
私はあまり詳しくないのでこれ以上特定はできませんが。
あらすじ
帝国陸軍少尉の立花誉が、祝言の日取りを勘違いし、婿養子となる立花家を訪れることから物語は始まります。
東京生まれの誉は当時既に主流だった新暦(グレゴリオ暦)で生活していましたが、立花家のある村では旧暦(天保歴)で回っていたため、約束の日よりおよそ一か月早く乗り込んでしまったのでした。
結婚のことを知らされていなかった花は非常に困惑しますが、誉の優しさもあり、だんだんと慣れていき、いい夫婦になろうと生活を始めるのです。
ただし、軍属の誉は駐屯地での生活が基本であり、長くない休暇の間だけ立花家で過ごします。
好きなポイント
二人の見た目が良い
これは作者様の画力と画風に他ならないのですが、二人の見た目が非常に好みです。
誉は軍人とはいえ非常に体格がよく、立花家の鴨居で顔(鼻)をぶつけるほど長身です。
鴨居の高さは約173㎝であることから180㎝ほどの身長があると考えられます。
現代でも大柄な方ですね。
ちなみに余談も余談なのですが、私も身長が185㎝ありまして、古い家屋に行くと天井の低さや鴨居の低さに悩まされます。
当時を生きる誉は非常に生活しづらい環境だろうなと、勝手に共感していました。
そして、顔が良い。
作中でも多くの人物から男前だと評され、男の私から見てもハンサムで見ていて楽しいです。
そう、顔が良い男というのは、男から見てもいいのです。
半面、妻の花はかなり小柄で、村の子供たちより一回り大きい程度の身長です。
顔だちも幼く可愛らしく、村人からもねんね(子供っぽい)と評されています。
最初は緊張していたものの、途中から無邪気な笑顔を見せるようになり、それをみた誉がクールにほほ笑むシーンは幸せな気分にしてくれます。
良い夫婦になろうとする心がけが素敵
誉は祝言の日取りを間違えるわ、花は結婚の話を聞いていないわで、結婚初日からかなりのすれ違いっぷりを見せてくれます。
しかし、親が結婚相手を決めていた時代ですので、初めて会った相手と結婚すること自体にそれほど抵抗はないようで、互いにいい夫婦になろうと切磋琢磨します。
誉は持ち前の優しさで花を受け入れ、花はかいがいしく良い嫁であろうと努力をします。
現代では一部の人が見たら発狂しかねない男女像かもしれませんが、当時はそれが当たり前だったのでしょう。
特に、二人とも夜の営みは経験がないようで、その際のやり取りは必見です。
軍人の嫁
現代においても変わりませんが、軍人・兵士というのは有事の際に命懸けで任務に当たります。
平和が終わってしまったとき、それを取り戻すために戦地へ向かうのが軍人なのです。
誉は駐屯地で勤務している際に、素行不良軍曹に対して説諭をします。
曰く、戦場ではたった一発の銃弾で命が奪われる。
そこに階級の区別なく、また日頃の訓練の量にも左右されない。
それでも国を守るために戦うのが軍人であり、君は命を懸ける覚悟があるのか、と。
実戦を経験し戻ってきた誉は無表情に見えますが、固い信念のもとで軍務に当たっていることが伺えます。
自衛官の結婚式の際に行われる上司あいさつにて、以下のような常套文句があります。
「もし前夜に夫婦喧嘩をしても朝には笑顔で見送ってあげてください。その見送りが最後になるかもしれないのが我々自衛官です」
作中でも花はそれに気づき、ひどく動揺します。
しかし、それは誉も同じで、初めて大切な人ができた者同士の心の動きが表されています。
まとめ
現時点で二巻が出るのかは分かりませんが、もっと二人の幸せな生活を見せてほしいと思わざるを得ません。
しかし、作中が史実通りの日本であるならば、彼らの生きる時代によっては二人の生活に大きな影が差すことになるでしょう。
出来れば、ずっと幸せに末永く過ごしてほしいものです。
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