何かと世間を賑わせる近隣国からのミサイル発射ですが、今のところ幸いにも日本国土への着弾はしていません。
北朝鮮からのミサイル発射は、自国の力を見せつけ、いざというときは十分な攻撃能力を持つということを世界にアピールすることで、外交上のアドバンテージにしようとしていると考えられています。
なので、直接攻撃の意図は低いとみられていますが、だからと言って、いつまでも実害がないとは限りません。
日本と敵対関係にある国は北朝鮮だけではありませんしね。
いつ関係がこじれて戦争状態になるか分かったものではないのです。
離れた位置にある他国を攻撃するのに用いられるのが、通常のミサイルよりも長射程の弾道ミサイルです。
そして、敵国からのミサイルに対する防衛手段の一つに、
発射されたミサイルに迎撃ミサイルをぶつけることで撃ち落とすという手法があります。
日本を含めた大抵の国ではスタンダードな方法です。
この記事では、弾道ミサイル防衛について
- ミサイルとは何か?
- 飛んで来たらどうやって守るのか?
- ミサイルを撃ち落とすやつの名前も分からん
という方向けに簡単に解説します。
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「ミサイル」ってそもそも何?
大抵の人はミサイルがどういうものかのイメージはあると思います。
簡単に説明すると、ロケットエンジンによって制御飛行できる本体の先っぽに、各種弾頭を搭載して攻撃目標にぶつける兵器です。
弾頭は、ただ爆発するものもあれば生物化学兵器をまき散らすもの、核弾頭などのバリエーションがあります。
よくニュースなどで聞く「弾道ミサイル」や「大陸間弾道弾」という呼び方は、
ミサイルのロケット推進により指定の高さ(おおよそ大気圏外)まで上昇し、その後は重力に任せて放物線上に落下させるミサイルになります。
長射程および自由落下による高速度化と、落下の衝撃も威力に加算される高威力が特徴です。
特に、高速度化による迎撃の難しさが大きな脅威です。
弾道ミサイルを撃ち落とす方法
撃ち落とすいっても、何を使ってどのように行うのか説明します。
迎撃ミサイル
上述の通り、飛んでくる敵ミサイルに対する防衛策として、撃ち落とすためのミサイルを発射し撃墜します。
ミサイルを撃ち落とすミサイルの名前は、そのまま「迎撃ミサイル」となります。
(ミサイルという文字がゲシュタルト崩壊しそうですが、日本語にすると「誘導弾」となります)
15年ほど前に、日本にパトリオットミサイルPAC-3(パック 3)が配備されたことがニュースになり、この名前を憶えている方も多いかと思います。
PAC-3は地上配備型の短距離迎撃ミサイルで、ミサイル防衛の最後の要となります。
PAC-3の射程は20Km程度なので、撃墜に成功したとしても破片が周辺に降り注ぐのは避けられません。
なので、本命はもっと手前、海上に配備されているイージス艦に搭載された長距離迎撃ミサイルです。
簡単まとめると、以下のような守備範囲となります。
- 発射~落下:イージス艦による迎撃
- 落下~着弾:PAC-3(パトリオットミサイル)
迎撃の手順
日本全国に配置された空自のレーダーサイト、偵察機、衛星軌道から監視する偵察衛星(米国の軍事衛星含む)、海自の船舶などによる監視が24時間365日続けられています。
ミサイル発射の兆候を検知するとた警戒レベルが上がります。
また、ミサイルの発射は瞬間的に検知され、自動で迎撃システムが作動し必要に応じてイージス艦や空自の高射群に迎撃ミサイル発射命令が発令されます。
また、アメリカ軍とはデータリンクでつながっており、ミサイル迎撃にはアメリカ海軍のイージス艦も参加します。
イージス艦からの迎撃は、敵ミサイルの推進剤が切れ放物線運動をするタイミングで行われます。
この時点でミサイルの落下経路は確定されます。
ここで迎撃に失敗した場合はパトリオットミサイルの射程圏内で迎撃します。
それも失敗に終われば、日本国内にミサイルが着弾するということになります。
まとめ
飛んでくるミサイルにミサイルをぶつけて撃ち落とすというのは、
銃弾に銃弾をぶつけるのと同じくらい難しい行為です。
ミサイル防衛システムで最も重要なのは、迎撃ミサイルではなく、レーダーや偵察衛星などの探知機能です。
ここでいかに素早く攻撃を察知できるかにかかっています。
飛翔中のミサイルを追尾、落下地点を計算することで迎撃ミサイルの発射軌道が決定されます。
現在、弾道ミサイル迎撃システムを単独で運用しているのはアメリカのみです。
日本のシステムはアメリカからの情報提供に依存しています。
イージス艦の数は、日本が10隻に対して米海軍は80隻以上。
偵察衛星も、日本が8基に対してアメリカは200基以上と桁違いです。
しかし、それだけの情報網があっても、迎撃率は100パーセントにはなりません。
また、ミサイルやその他の攻撃手段も年々進化しており、従来のミサイル防衛システムを搔い潜る兵器が一般化するのも時間の問題でしょう。
日本が最後に経験した第二次世界大戦のようなロートルな戦い方は現代戦では通用せず、技術の発展に合わせて新たな戦い方に変貌します。
ミサイル防衛に限らず、国防の更新をおろそかにすると痛い目を見るのは我々国民であり、私たちの子供なのかもしれません。
そして、国を動かすのは国民の声なのも忘れてはいけないのでしょう。
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