The Backrooms
およそ一年前に、とある動画がYoutubeにアップロードされ、そのあまりの出来の良さに日本でも爆発的な人気になりました。
The Backroomsの解説記事を執筆した時には、日本語での情報はほとんどなく、
そのおかげか今でも当ブログの解説記事がThe Backrooms関連の検索上位に入ることの多いです。
そして月日が流れ、一般にThe Backroomsが認知されるに従い、
ゲーム化されたり、有名Youtuberが紹介したりと、日本国内での知名度もうなぎ登りです。
私も、当時は暇さえあれば本家のWikiにアクセスし、碌に無い英語力を翻訳サイトに頼りながら楽しんでいたものです。
しかし、人気が出て、なおかつ誰もが参加できるこの種のネットミームにありがちなことに、人気が二極化されるようになりました。
情報が飽和状態になってきたのです。
そして、現在の私は、The Backroomsというコンテンツが「つまらなくなった」と感じるようになってしまいました。
同じ気持ちを持っている人は多くいるようです。
この記事では、何故The Backroomsをつまらないと思ってしまったのかを考察します。
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The Backroomsの魅力とは
The Backroomsの最初期は、
現実世界に生きる私たちのような一般の人々が、何かの拍子に異世界ともいえる「The Backrooms」に落ちてしまう
というただそれだけの現象を描いたものでした。
Liminal Spaceの概念をふんだんに織り込んでおり、それが不気味さに拍車をかけていました。
一見普通の風景なのに、人の気配はなく、よく見るとおかしな空間というのは、人々の好奇心を刺激します。
「同じ部屋が無限に続くこの空間は何なのか」
「落ちてしまったらどうしたらいいのか」
「ほかに人はいるのか」
「もしかしたら危険な存在がいるんじゃないか」
「出口はどこなのか」
分からないことが多い分、私たちは様々なことを考え、自分を当事者に置き換えて空想することができるのが魅力だったのです。
答えを求めて空想はしていましたが、明確な答えを手に入れることを望んではいませんでした。
現在のThe Backrooms
異常空間内には数千から数万の人々が存在しており、彼らは生存のために奔走する以上のことをしているというのが通説になっています。
なんでそんなに迷い込んだ人がいるんだよ、という疑問が第一に生まれると思います。
ある集団はThe Backrooms内を探索・研究し、レベルと呼ばれる様々なエリアを発見していきます。
各レベルのつながりを発見し、危険性を定義づけし、中には現実世界(Frontrooms)へ帰還できるレベルも見つけていました。
エンティティと呼ばれるThe Backrooms内に生息する異常実体と争ったりする戦力も保有しています。
エンティティにしても、その生態の多くが解明され、特徴をはじめ、襲われた際の対処法などが明文化されています。
The Backroomsというコンテンツにおける不明なことの大半に、(誰かが勝手に作った)答えが用意されている状態になってしまいました。
とはいっても、この流れは最近になって出来上がったものではありません。
私がThe Backroomsを知った2021年の時点でも、すでに多くの設定(ヘッドカノン)が存在していました。
レベルも分けられていましたし、エンティティの存在も設定されていました。
それでも、まだ私の興味を強く引き付けたのは、それらの設定が良い意味で「あいまい」だったからです。
レベルもエンティティも、表面的なことしかわかりませんでしたし、まだまだ私たちの空想が入り込む余地がありました。
しかし、今では、ほとんどすべての設定が深堀され、
ヘッドカノンといえども他の考えをして楽しむ余地がなくなってしまいました。
公式設定はないものの、詳細なヘッドカノンが複数存在する、
というのは状況はSCP財団と同じなのですが、
なぜThe Backroomsでは受け入れられなかったのでしょうか。
それには以下の理由があると考えます。
SCP財団が受け入れられた理由
SCP財団というネットミームは「人類が組織的に異常存在に立ち向かっていく」という前提を持っているため、発見されたオブジェクトに対して、人・金・物を投入することに違和感はありません。
オブジェクトの情報を蓄積し、財団であれば確保・収容・保護のために使用するのは当然であり、
GOCなら破壊のために使います。
他の要注意団体も、自身の思惑のためにそれらの知識や技術を使うでしょう。
The Backroomsでは受け入れられなかった理由
The Backroomsは、
異世界に迷い込んでしまった予備知識のない人々
がメインに据えられています。
十分な食べ物や飲み物すら持っていない人々が、現実世界とは異なる場所に迷い込んだのに、いったい何ができるというのですか?
ろくな準備もせずに他国に行くだけでも、私にとっては苦難の道です。
設定は練られているものの、それに至るまでの前提に違和感を覚えるのです。
違和感の例
- 人々が集まって組織化されているということは、この異常な空間に多数の人間が迷い込み、それなりの数の人々が生存しているということ。
- 危険なエンティティの情報があるということは、それらの危険性を見たうえで生き残った人がいるということ。
- 危険なレベルの情報があるということは、そのエリアを探索しつくし、さらにそれによる人間への影響を観察した結果ということ。
- ごくわずかな確率で訪れることができるレベルがあると分かっているということは、確率を導き出せるほどの実験(もしくは実例)の蓄積がある、つまり見た人がいるということ。
挙げていけばキリがないほどに違和感しかありません。
少し考えても、ただの人々の集まりに、これだけの活動ができるとは思えません。
さらに、無秩序な設定の拡大を起因として、
もともとThe Backrooms関連のWikiが生まれたFandomに対して、
Wikidotにて有志が再定義したThe Backroomsを設定するという分裂が起こっています。
この二つの勢力によって、独自に設定は発展しており、それが混乱に拍車をかけていると思います。
私はこれらを追うことをやめてしまいました。
魅力と労力のつり合いが取れなくなってしまったので。
まとめ
The Backroomsというコンテンツは大変魅力的なものでした。
しかし、言うなれば、「不完全であることが完全である」という相反する要素を持ったコンテンツである以上、いずれはこうなることが避けられなかったのかとも思います。
一度読んだ推理小説に魅力を感じられなくなるのと同じようなものです。
ただまあ、推理小説であれば、登場人物の心情描写や、ストーリーを何度も読みたいと思えるかもしれませんが、
The Backroomsは、言うなれば「解明される前の謎だけに価値がある」小説です。
答えを知ってしまっては面白くないのです。
初めてThe Backroomsを知り、本家Wikiに入り浸って記事を読んでいたころはとても楽しかったです。
これはいったいどういう世界なのだろうかと。
しかし、インパクトがある分、知れば知るほどに、設定が作られていくほどに魅力が抜けてしまったのも事実です。
私にとって「The Backrooms」は過去のものになってしまったのです。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
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コメント
the backroomsは話が入り込みすぎだし。本家記事だと超有名levelが大改変されて訳のわからないストーリーと共に発展していくかと思えば、最初から改変前のlevelなんかなかったかのような振る舞いをする。
挙げ句の果てには現世に戻れる伝説のlevelである「level3999」と「promise land」が合体して現世に戻れる設定は消滅。ただでさえ3999がBackroomsの希望の光だったのになぜ消してしまうのか…
以降「level3999−B」が3999として現世に戻れる設定を保持しているがなぜ似たlevelが二つ存在しているのかと言う謎は消えない。
僕はBackroomsが好きだ、だからそう言う改変する奴らを許せない。全部戻してやりたい。
僕は改変前の「日本版fandom記事」をみることにするよ。
泣きたいぐらいだ