ラーメン赤猫
しなやかなボディに愛らしいフェイスという見た目ながらも、内面は基本的にクールな存在。
猫
あのふわふわで可愛らしい存在に癒されない人はいないですよね?
老若男女問わず幅広く人気の食べ物。
ラーメン
塩分脂質炭水化物、人間が必要とする栄養素をふんだんに含んだ食事を嫌いな人はいないですよね?
あー、
疲れた心を猫で癒してぇ!
空腹をラーメンで満たしてぇ!
そんな我儘な要望にお応えしているのが、この記事で紹介する漫画
ラーメン赤猫
です。
人語を話す猫と、そこで働くことになった人間の女性を中心に展開されるストーリーです。
余談ですが、作者のアンギャマン氏は「夜ヲ東ニ」という作品を書かれていました。
そちらは惜しくも短期間の連載となりましたが、単行本も買って楽しく読ませていただきました。
個人的には「夜ヲ東ニ」の続きが読みたいですね。
絵柄も好みだし、興味深い世界設定に未回収の伏線も多いですから。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
世界観

明確な時代を示す描写はありませんが、スマートフォンや動画配信サービスが登場し、街並みや人々の風貌からも、現実社会と大差ない時期だと考えられます。
少し違うのは、人語を話す猫が少数ながら存在しており、それを人間は受け入れているということです。
また、少なくとも話す猫の知能は非常に高く、人間と同等の思考回路を持ち、人間の作り出した装置等も(身体構造の違いによる制約がありつつも)使用することができます。
現にラーメン屋の設備を使用し調理をしていますしね。
ただし、メインキャラクターのように働く猫というのは極めて稀であるようです。
話す猫を見つけるのが大変なうえに、その中から働く気のある猫を見つけるのは現実的ではない旨を、大手ラーメンチェーン店に合併を持ち掛けられた際に話しています。
猫は猫。
自由気ままなのが本質なのはどの世界も変わらないようです。
主な登場キャラクター
作品コンセプト的に、ほとんどのメインキャラクターが猫あるいはネコ科です。
社 珠子

おそらく主人公である人間の女性です。
基本的には彼女の周囲で起こる物語が描写されています。
猫まみれの職場でパートとして採用されているものの、まさかの「犬派」。
おいおいそんなの許されるのかよ、といった気分にさせられますが、逆に猫派でないことが雇用のきっかけになっていたりします。
ラーメン赤猫に彼女が面接に訪れるところから物語はスタートしました。
広告制作会社で勤務していましたが、業界の例に漏れず結構なブラックだったようで、限界社畜ガールを経て退職、叔母さんの紹介でラーメン赤猫に就活に来ました。
上述のように、とある理由から「犬派」であることで無事採用されるものの、
ラーメン屋らしい仕事は皿洗いくらいで、メインの業務は猫たちへのブラッシングです。
飲食店であることから働く猫たちは抜け毛には尋常でないほど気を使っているものの、猫的には非常にストレスのようで、休憩時間に念入りにブラシをかけてあげています。
その他、前職での経験を生かして店舗ポスターを制作したりと、右に左に上に下にの縦横無尽の活躍を見せます。
本人曰く、「勝手に頑張って迷惑をかけるタイプ」とのことですが、ラーメン赤猫の従業員たちはそこが良いところだと認めています。
前職では、「無理やり仕事を押し付ければ勝手に頑張ってくれる便利屋」として重宝されていたと自嘲しています。
とはいえ、仕事に対する姿勢や日々の受け答えから見ても、まじめで熱心な人であることは間違いありません。
ちなみに、かなり容姿に優れていると思います。私の好みです。
文蔵

ラーメン赤猫の店長を務めている虎柄模様のオス猫です。
ラーメン屋さんらしく(偏見)、目のすぐ上にタオルを巻いています。
キリっとした見た目で仕事にストイックなものの、話し方は非常に優しく、従業員と店、客のことを真剣に考えているナイスキャットです。
ラーメンを作るのは彼ですが、先代(人間)の残したレシピをもとに嗅覚等を駆使して、半ば勘で調理をしています。
なにせ猫ですので主力メニューの醤油ラーメンですら彼らにとっては致死性の有機物です。
元野良猫で、ラーメン屋台を営む先代店長のおじさんに拾われて以降ともに暮らし、先代の引退後に次期店長として働いています。
後に現在の店舗に腰を落ち着けることになるのですが、その際に多くの人間の力を借りています。
その一人が、社さんの叔母さんだったようですね。
サブ

盛り付けとサイドメニューの調理を任されている黒猫です。
真っ黒の身体にまんまるの目が目立ち、ωが際立つチャーミングな口が特徴の猫です。
誰に対しても「~ッス」と話す元気な猫ですが、プライベートではゲーミングPCでオンラインゲームをするのが好きなインドア派だったりします。
ゲームの実力はなかなかなもので、プロゲーマーも参加する大会の予選を突破するほどです。
人間用に最適化されたPCを猫の身体で操作して結果を残すというのは非常に大変だと本人の口から語られています。
つまりセンスがいいということでしょうね。
仕事においても熱意がないなんてことは一切なく、サイドメニューに関しては店長からも大きな権限を与えられています。
具体的には、上客にはおまけをしたり、勝手にレシピを変更したりしています。
ただ、彼らはラーメン屋の食べ物はほとんど食べられないため、美味しいか分からず今までは正式なメニューとして認められませんでした。
しかし、社さんが来たおかげで味見ができるようになり、餃子がついにリニューアルされることになったのでした。
ちなみに、彼も元野良猫で、店の残飯を漁った挙句に味に文句(意見)を付けたため文蔵に気に入られて雇用されました。
野良の性か、食えるものを食える時に食うという考えを持っています。
今でこそまん丸おめめのかわいい顔をしていますが、野良のころは眉間にしわを寄せ怒ったような顔をしていたようです。
ハナ

耳に花のアクセサリーを付けた白いメス猫です。
接客担当であり、可愛らしい見た目とあざとい仕草でお客さんを魅了します。
仕事の上では上述のようなプロ意識の高い猫ですが、実態はなかなかクールで、我の強いタイプです。
当初は採用された社さんにもキツく当たり、周りの同僚からも若干の心配をされていました。
分かりますよ、こういう手合いは後々親友になるんですよね。
それか決定的な敵対か。
幸いにして、日々を一緒に過ごすうちに、社さんのまじめさと人柄を認めるようになり、明らかに心の距離が近づいていきます。
ちなみに、短毛種に見えますが、本来は長毛種であり、定期的に自らトリマーのもとに通い身だしなみを整えているようです。
他にも、社さんのメイン業務である猫たちへのブラッシングにおいても、こだわりのブラシを持っています。
どうやら、短毛に切り揃えていることや身だしなみへのこだわりは性格以上の理由があるようです。
佐々木

点のような目に八割れ柄?が特徴の猫です。
接客及びレジ打ち、他にも経理などの事務処理を担当しています。
ゆったりした優しい口調で、社さんが採用されてからも何かと気にかけてくれる先輩社員です。
ああ、社員と言いましたが厳密には異なります。
最高経営責任者(CEO)
つまりラーメン赤猫の経営者というとんでもない肩書を持っています。
もともとは文蔵の幼馴染で、一緒に野良猫として日々をたくましく生きていました。
病気になって動けなくなったところを、ラーメン赤猫の先代店長に拾われて救われます。
その後は詳細は不明なものの、佐々木は他の人間に引き取られ文蔵とは離れ離れになってしまいました。
さらに彼を引き取った人間が富豪だったようで、その人物が亡くなった際には佐々木が莫大な遺産を相続し、大金持ちになったのです。
その資産を用いてラーメン赤猫を買い取り、最高経営責任者としての地位を得ました。
とはいえ、普段は一従業員として勤務しており、店長である文蔵とは互いが相手のほうが自身より偉いと考えています。
決して傲慢なタイプではないということですね。
クリシュナ

直立時の身長が2Mを優に超えていそうな巨体に虎柄模様が特徴的な、まあ文字通り虎の女の子です。
虎にしてもかなりの巨体に獰猛そうな顔と怖そうな印象を与えますが、実態は引っ込み思案でシャイな女の子です。
しかし、決して暗いタイプではなく、社さんともすぐに打ち解けて「珠子さん」と名前で呼んでいます。
初登場時は、チンピラ客がラーメンに猫毛が入っていると騒ぎ、「誠意を見せろ保健所に通報じゃ」と騒ぎ立てている場面でした。
ちなみにラーメン赤猫には猫が作っているのでやむを得ず猫毛が入る旨を事前に表示しています。
彼女はそんなチンピラの後ろに音もなく立つと、そのたくましい腕(前脚)でズシっと肩を掴み、
「お客様、どうされましたか? ウチのラーメンが 何か?」

と丁寧な口調なれども牙をむき出しにして威圧感マシマシの対応を取ることで追い返すことに成功しました。
しかしそのあとすぐに、怖かったと泣き出してしまうほどに、強面な外見とは正反対の優しい性格であることが描写されます。
そんなシャイな彼女は、店舗裏方で製麺作業に従事しており、赤猫スペシャルというスペシャルメニューに使われる手打ち麺も作っています。
社さんやハナちゃんとも頻繁に女子トークをしており、見た目を除けば普通の女の子と変わりないというのが可愛らしいと思います。
感想

可愛らしい猫が美味しいラーメンを作る。
現実に存在したら最高なお店ですよね。
単なるイロモノ一発屋的な漫画ではないことも期待が持てます。
見た目が猫なだけで人間がラーメン屋を営んでいるのと変わらない描写しかないわけでもありません。
猫だから碌に味見ができなかったりネギが使えなかったり、抜け毛対策をしていたりと、しゃべる猫がいるという独特な世界観は、読んでいて引き込まれるものがあります。
各登場人物(猫)のバックボーンも断片的に語られ、今後の展開が楽しみで仕方ありません。
本作との出会いは作者様のTwitterで宣伝されていた数ページの漫画を読んだことによるのですが、私の好みにドハマりしたため、そのままkindleで電子書籍版を購入してしまいました。
この記事を書き始めたときは単行本は2巻まで発刊されており、3巻は予約受付も一緒に済ませてしまいました。
と書いている本日2/3、単行本3巻が発売されました。うれしいですね。
物語の進行はもちろん、猫の仕草やポーズの描写も丁寧です。
特にクリシュナちゃんなんてとんでもなく描くの大変だろうなと素人目には映ります。
ただ、人物の描き方について、アンギャマン氏の前作である「夜ヲ東ニ」の際にも思ったのですが、好みの分かれる絵柄かと思います。
言うまでもなく私はドストライクなのですが…。
社さん可愛いですよね。
何はともあれ、今後に期待しつつ楽しませていただこうと思います。
独特な日常漫画を読んでみたい方には特にオススメの漫画です。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
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