人類最古のアノマリー報告書である
SCP-001-EX-J
この報告書は財団どころか科学技術さえ一切存在しなかった太古の昔、我々人類の先祖も財団同様に未知の現象に対して果敢に挑み、その記録を付けていたことが示されています。
その人々の部族はCKG(Catch,Keep,Guard)族。
すなわち「捕まえ」「保ち」「守る」ことを理念とした部族です。
概要
この報告書は財団による写本であり、原本はフランスのとある洞窟に残された壁画です。
この報告書が示すオブジェクトは人類が初めて確保し収容し保護した異常存在であることから、SCP-001のナンバーを割り当てられましたが、現代においては広く解明された存在であるためEX分類されています。 J?知らんな。
解説
以下に原文とその解読を行っていきます。
どのものか:
SCP-001-EX-Jよりもの-Iもの-I-わ
アイテムNoに該当するものであり、彼らの分類でも1番目であることが分かります。取り消し線の後に書かれている「もの-I-わ」は後述の「わかってる」であることを指し、EX分類に相当する扱いをしています。
どれくらいわるいものか:
SCP-001-EX-Jよりわるくないわかってる
オブジェクトクラスおよび危険度に該当します。
当初は「悪さをするものではない」という認識でしたが、のちに彼らはこの「もの」が何なのかを解明したことを示します。
どうやっておいておくか: ほら穴-IIIIの地面にあけた穴にすくなくともひとつはとっておけ。
すくなくともひとりの起きてるまじない師がもの-Iを入れた穴のそばにいないといけない。
木とか葉っぱとか骨とかをもの-Iに食わせるために投げ込め。でないともの-Iは死ぬ。
地面の穴のなかにいないもの-Iはすごくわるい。やまライオンよりよくない。
もの-Iはおのでもやりでもげんこつでもきずつかない。
とめるには水とかしょんべんとか土とかかけたり木のえだでたたいたりしろ。
もの-Iになにかためしてみるのはおおかみ皮よりえらいまじないしでないといけない。そのときもまじないし・う████にやるまえにやっていいか聞け。
SCP-001-EX-Jより
特別収容プロトコルの該当します。
「もの-I」は特定の洞穴の中に収容し、最低一人の専門家が監視しなければならないとしています。
また、「もの-I」の維持のために木や葉などを投入しなければなりません。
この収容から脱すると「もの-I」はCKG族に大きな脅威となるようです。
もし「もの-I」を終了させたい場合は水分を与えたり棒などで叩いたりしなければいけません。
ただし終了手順は指定の専門家の許可が必要です。
すごくみじかいやつでなければもの-Iにおしっこはかけるな・ かむなぎ・あ████
SCP-001-EX-Jより
研究員などの補遺に該当します。
「もの-I」に小便をかけるんじゃないと注意喚起をしています。
※補遺の筆記者の「かむなぎ」とは「かんなぎ(巫や神薙)」のことであり、神の依り代となり神降ろしを行う人のことです。
もの-Iがほしいなら、まじないし・う██ならおしえられる。でもおおかみ皮よりえらいまじないしでないといけない。
もしもの-Iについておおかみ皮のまじないしよりえらくないやつにおしえたらものすごくひどい目にあわせる。
SCP-001-EX-Jより
「もの-I」にアクセスするためのセキュリティクリアランスが示されています。
「おおかみ皮のまじないし」レベルに満たない人物への情報開示は行われず、不正な漏洩は懲罰対象であることを示しています。
これはなにか: もの-Iはあつくてあかるくてきいろいものだ。
もの-Iは手でつかめない。でも木にのせてどうぶつの頭の骨のなかに入れておけばうごかせる。
ためしてみたらもの-Iの上はもの-Iとおなじくらいあつい、でもあかるくない。
もの-Iはどこでもいいからすでにあるもの-Iに、木とか葉っぱとか骨とか皮とかあぶらみとかを近づけることでおこせる。
もの-Iはもの-IIIが木に落ちたり、もの-IIIIのそばにある木の枝などでもおきる。
水、おしっこ、土、枝でたたくことでもの-Iは殺せる。だけどもの-I男がもの-Iを見はらないといけない。まじないし・か███のやったことを見ればもの-Iができごと-Iをおこすことがわかる。
もの-Iは部族にとってものすごくやくにたつ。もの-Iにためしたことを見ろ。
SCP-001-EX-Jより
説明に該当します。
「もの-I」は発光・発熱するオブジェクトであり、素手で掴むことはできません。
ただし動物の頭蓋骨のような器上の物に入れることで移動させることができます。
「もの-I」の上方には本体と同等の熱が放射されていますが、光量は比例していません。
「もの-I」は自然界に存在していることがあり、適切な道具を使用することで確保することができます。
自然界に存在しているケースとしては、その他のオブジェクトである「もの-III」が落ちた木や「もの-IIII」の近くにある木に発生することがあります。
「もの-I」を終了することは上述のように可能ですが、常に監視人員が必要です。「できごと-I」を参照。
「もの-I」の有用性は大きく、詳細は実験記録を参照してください。
どうやってみつけたか: もの-Iは部族に長いこと知られていた。
でももの-Iを長いこともたせるうまいやりかたをみつけたのはぷろめてうすの洞窟の速狩群-I1″しげみをうろつきまわるやつら”のかりうど・お██とかりうど・う██だ。
かりうど・お██はもの-Iを手でさわったからけがをした。どうやっておいておくかに書いたうまいやりかたをもの-Iにつかった。いいはたらきをしたから、かりうど・う██とかりうど・お██はマンモスのはんぶんとふたりの女をもらった。
SCP-001-EX-Jより
発見の経緯に該当します。
「もの-I」の存在はCKG族に認知されていましたが、効果的な収容方法が不明でした。
しかし、「ぷろめてうすの洞窟」の居住していた「速狩群-I1″しげみをうろつきまわるやつら”」の構成員二名が偶然にも「もの-I」の移動方法を発見したことでCKG族の収容下に入りました。
ほかのこと-I
収容下「もの-I」に対して以下に実験が行われました。
もの-Iにためしたこと
ためし-I
だれがためしたか:かむなぎ・あ██
ためしたこと:やりでもの-Iをついた。
おきたこと:もの-Iがやりの上にひろがった。
SCP-001-EX-Jより
実験1
槍で触ってみるという、正体不明のオブジェクトに対する比較的安全な接触実験です。
結果、「もの-I」は槍を伝って広がりました。
ためし-II
だれがためしたか:かむなぎ・あ██
ためしたこと:しょんべんをやりにかけて、やりでもの-Iをついた。
おきたこと:やりはかわいたけどしょんべん臭い。もの-Iはやりにひろがらなかった。
SCP-001-EX-Jより
実験2
なぜやろうと思ったのか、小便を槍にかけて「もの-I」に接触させたところ、小便の水分は奪われましたが臭いは残りました。
この際は「もの-I」は槍を伝うことはなかったようです。
ためし-III
だれがためしたか:かむなぎ・あ██
ためしたこと:しょんべんをもの-Iにかけた。
おきたこと:もの-Iがち●こにひろがった。かむなぎ・あ██がげんきになるまでもの-Iをためしてみることの長はまじないし・う██がやる。
SCP-001-EX-Jより
実験3
小便が「もの-I」に対して何かしらの影響を与えたと考えたのか、直接小便をかけることになりました。
結果、実験実施者の陰部に「もの-I」が広がり負傷しました。
ためし-IIII
だれがためしたか:まじないし・う██
ためしたこと:肉をもの-Iにのせた。
おきたこと:もの-Iは肉にひろがらなかった。
SCP-001-EX-Jより
実験4
「もの-I」に生肉を与えたところ、オブジェクトに変化は起こらなかったようです。
ただし肉が回収できなかったようで次の実験に続きます。
ためし-IIIII
だれがためしたか:まじないし・う██
ためしたこと:しょんべんをやりにかけて、やりで肉をとりだす。
おきたこと:やりはかわいたけどしょんべん臭い。肉はうまかったけどションベン臭かった。
SCP-001-EX-Jより
実験5
上記実験にて回収不可能になった肉を取り出すために、実験2で使用したように小便を浸した槍を使いました。
槍に「もの-I」が広がることも無く、肉の回収に成功しました。
実験2同様に槍の水分は奪われましたが小便の臭いは残りました。
取り出した肉を摂食したところ、美味ではあったものの小便の臭いがついてしまいました。
ためし-IIIII I
だれがためしたか:かりうど・お██
ためしたこと:やりを水につけて、やりの上に肉をのせる。
おきたこと:やりはかわいた。やりはしょんべん臭くない。肉はとてもうまかった。かりうど・お██はまじないし・お██になった。
SCP-001-EX-Jより
実験6
小便ではなく水に浸した槍を用いて実験を実施しました。
濡れた槍に肉を乗せて「もの-I」に投入します。
小便同様に槍の水分は奪われたものの無臭でした。
取り出した肉は美味になっていました。
この実験の成果で実験担当者の「かりうど」は「まじないし」に昇格しました。
ためし-IIIII II
だれがためしたか:まじないし・う██
ためしたこと:麻をもの-Iにのせる
おきたこと:[データは削り取られている]
SCP-001-EX-Jより
実験7
「もの-I」に麻を乗せる実験は、報告書から削除される結果を引き起こしました。
壁画に残された文書のため、データは「削り取られて」います。
できごと-I
おぼえてるときから██████████████████の満月とIIの日、ほら穴-IIは朝のたいこをならさなかった。
速狩群-I”しげみをうろつきまわるやつら”はなにがおきたのか見にいくために送られた。
ほら穴-IIの中はあたたかかった。
部族の男たちが死んでいて[データは削り取られている]だった、ほら穴の壁もそうだった。
死んだ男たちにけがはなかった。
SCP-001-EX-Jより
事件記録に該当。
この報告書を執筆している人物が住んでいるのとは別の洞穴で起きた事件記録です。
ある朝、連絡の途絶えた洞穴に速狩群が派遣されました。
結果、洞穴の中は暖かくなっており、居住者は全員死亡していました。
その遺体に傷はなかったため死因は不明です。
ほかのこと-II:
おぼえてるときから██████████████████████████████の満月とIIIII Iの日、まじないし・お██は[データは削り取られている]を使って何もないところからもの-Iをすばやくおこした。もの-Iはもう”わかってること”と呼んでいい。
か-IIIII会議
SCP-001-EX-Jより
追記に該当します。
とある「まじないし」が「データ削除済み」を使用して「もの-I」を発生させることに成功しました。
原理が解明されたためにEX指定されました。
ネタバレ
正体
この記事が取り上げているオブジェクト「もの-I」の正体は
火です。
太古の人々(CKG族)は、自然発生した火を見つけたことで、火の研究を始めました。
熱と光を発し、拳や石斧では傷つけられないものの、水や土をかけたり棒で叩くことで酸欠にして鎮火することができます。
SCP-001-EX-Jは、人類が初めて遭遇した理解不能なオブジェクトである火についてまとめた報告書なのです。
本家ディスカッションにて作者様より明言されたこと
ちなみに…当然本家記事なので英語でやり取りしています。
私の英語力は辞書がなければ何もできないレベルなので意訳に近いです。
「もの-III」と「もの-IIII」
「もの-III」は雷で、気に落雷することで「もの-I」である火が発生すると記載されています。
実際に人類が初めて接触した火は落雷による山火事の残り火だという仮説があります。
「もの-IIII」は溶岩です。
CKG族にとって「もの-IIII」は「もの-I」よりも非常に危険な存在であり、彼らの分類分けはKeterに相当していたようです。
つまり、CKG族は火山帯で生活していたのですね。
「できごと-I」で何が起こったのか
この洞穴では、火を炊いた状態で全員が睡眠を取ってしまいました。
その結果、換気の悪い洞窟内で火は酸素を使い切ってしまい、居住者たちは全員が一酸化炭素中毒で死亡しました。
また、酸素不足の不完全燃焼により遺体や洞窟の壁すべてが煤で黒ずんでしまったとのことです。
この黒ずんでしまった件に関しては、「削り取られて」おり読者には分からなくなっています。
設定的にはCKG族にとって全く理解できない現象であり、閲覧制限をかけたものです。
メタ的には、「もの-I」が火であることが読者に明白に伝わってしまうためです。
まとめ
人類が最も最初に出会った理解不能な現象である火に対する記録として、文字通り001番目に書かれた報告書である体裁を取りつつ、
原理が解明され火を起こすこともできるようになったため「EX」指定された
というストーリーをうまく組み込んだジョーク記事だと思います。
ちなみに、今となっては驚くべきことなんですが、私はこのオブジェクトの正体が火であるということになかなか気づきませんでした。
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