シェアワールド「SCP財団」において頻繁に登場する要注意団体である世界オカルト連合。
国連直轄の非公開組織であり、財団に次ぐ規模と能力を持つ存在です。
大目標は人類の保護という点では財団と志を一にする組織ですが、そのために取る方法に差異があるため、互いに相容れない団体です。
財団の理念である「確保・収容・保護」に対して、
オカルト連合は(彼らが自称したわけではありませんが)
「破壊・破壊・破壊」
という異常存在の徹底破壊を活動の軸にしています。
そんな彼らは、組織名にオカルトの名を冠するように、魔法や呪術等のスピリチュアルな団体が母体となっていますが、だからと言って科学技術においても財団に遅れを取ることは決してありません。
この記事では数あるヘッドカノンの中から、多くの筆者読者に支持されている「世界オカルト連合の装備」について解説していきます。
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世界オカルト連合の組織構成
連合を構成する数多くのオカルト的団体のうち、有力な108の団体が「108評議会」という意思決定を担う機関を組織しています。
そこから以下のように大きく分かれます。
- 物理部門(現場担当)
- 精神部門(外交担当)
- 天地部門(支援担当)
SCP記事内で頻繁に見かけるのはフィールドエージェントに相当する物理部門の工作員です。
特に危険なオブジェクトの記事になると、物理部門の中でも攻撃的な「排撃班」という、性癖に刺さる名前の部署が活躍します。
財団で言うところの機動部隊に相当します。
世界オカルト連合の任務
上述の通り、彼らは異常存在の破壊・無力化によって人類を保護することを目的としていますが、何も考えずに暴れ回っているわけではありません。
以下の5つの基本任務を前提にして人類の保護に当たっています。
第一任務:生存
ここで言う生存とは、個人の生命という意味ではなく、超自然的・超科学的な現象にさらされていない「正常な人類および文明」の存続を意味しています。
例えば、ついさっきまで普通の人間だったのに、超自然的なきっかけで不死身になってしまった子供がいたとしたら、それは「正常な人類」では無くなったために破壊対象になってしまいます。
第二任務:隠蔽
彼らの目的は「正常な人類および文明」の維持であることから、異常存在が表に出てくるのを望みません。
「正常な人類および文明」には、例えば目を離すと襲ってくる石像や、モノを飲み込むと縮小する時空間異常、人類作り直し機などの存在は含まれていないのです。
それらを人目から隠し、遠ざけるのも大切な任務となります。
第三任務:保護
とはいえ、人類の保護≒個人の保護であることに変わりはなく、必要性のない人的犠牲は極力避けることも任務としています。
これは一般人だけではなく、オカルト連合の構成員一人ひとりも同じようにとらえています。
第一任務のために必要不可欠かつ最小限の犠牲は容認しますが、彼らは基本的には人類の味方なのです。
第四任務:破壊
さんざん説明しましたが、オカルト連合の取っている人類保護のスタンスは異常存在に対する徹底破壊です。
「正常な世界には本来あり得ないはずの異常」というのは、存在しているだけで危険性を孕んでいます。
正常な人類と文明の維持のためには異常な事物は不要であることは明白であり、破壊による排除を試みます。
第五任務:教育
知識は何物にも勝る武器になります。
その上、どれだけ身に付けても場所も取りません。
知識があって困ることはほぼありませんが、無知ゆえに世界が滅びかねないのが彼らの仕事です。
そのため、業務執行に必要な教育は率先して行います。
OJTとは名ばかりのの放置をされることはないのでしょう。羨ましいですね。
世界オカルト連合の保有する技術
国連の下部組織であることから、一般社会に出回っているあらゆる武器装備、テクノロジーを使いこなすのは言うまでもありません。
それにとどまらず、現代社会においては実用化されていない次世代技術を手始めに、非科学的(魔法や神秘など)技術をも有しています。
使用技術に応じて以下のカテゴライズがされています。
- ZERO世代(Gen0):現行の技術で容易に再現が可能な装備であり、一般への曝露による第二任務の懸念が非常に小さいことから、大半の装備がZERO世代で準備されている。
- Plus One世代(Gen+1):一般実用化とまでは辿り着いていないものの、特注品や試作品として存在し得る技術を用いた装備であり、大抵の場合は一般に暴露した場合でも第二任務の懸念となることは少ないが、精神部門が介入することもある。
- Plus Two世代(Gen+2):現代技術を遥かに凌駕しており、一般に暴露した場合は深刻な第二任務への懸念となることから、当該装備には即時起動可能な自爆装置が取り付けられている。
- 邪径技術(TanGenT):上述の技術群とは異なり、現行の科学技術の延長線上には無い技術。魔法や信仰の力などが該当し、オカルト連合が所有していない邪径技術は、そのものが脅威存在として認識される。また、一般に暴露した際は連鎖的に任務に悪影響を与える可能性があるため、レスポンスレベル5の対応が必要となる。
上記を踏まえた上で、以下に装備の例を紹介します。
なお、情報元である「PHYSICS部門フィールドマニュアル2からの抜粋:装備と器材」は公式設定というわけではなく、数あるヘッドカノンの一つに過ぎません。
ただし、多くの人に評価され記事で採用されていることの多いカノンですので、主流な設定とは言えるでしょう。
ブラックスーツ
正式名称を「マークⅦ 標準実地礼装」といい、連合工作員、特に現地担当者が着用する個人用防護衣です。
用いられている技術はGEN +1ですので、現行よりほんの少し進んだ技術で構成されています。
TPOに合わせた各種ファッションに偽装でき、一般的な見た目でありながらも以下のような機能を搭載しています。
- 体表密着型の下着が有する拳銃弾に対する防弾性能及び、上着に付与されている小銃弾に対する防弾性能
- 極小通信機の内蔵
- 眼鏡や小物に偽装したAR(拡張現実)装置
- 各種小物に偽装した、もしくは人体にインプラントした連合ネットワークに接続可能なPCデバイス
名前の通り七世代目であり、初期のものは重く、可動域が狭く、黒色でしか作ることが出来ず、一般的な格好よりも目立ってしまうという有り様でした。
現在では上記機能を有しながら、一般的な服装と変わらない見た目(目立たない=低視認性)をしています。
ただし、それでも重たく、着慣らすまでは妙な匂いがするようですが、一般人に偽装しつつ十分な防護性能を持つこの装備は物理部門の標準装備となっています。
グレイスーツ
正式名称を「マークⅣ 潜入擬装衣」といい、映像投影式の光学迷彩装備です。
この装備もGEN+1の技術のみで構成されています。
カメレオン・クロスと呼ばれる素材で構成された衣服で、全身に配置された数百もの小型カメラが、体の反対側の映像を捉え、前面にその映像を映し出すことで着用者を偽装する装備です。
ただし、実際の風景に対して低解像度であることや、移動中は投影までに若干のラグがあることなどから完全な不可視には出来ていません。
しかしながら、着用者が静止している状態では抜群の偽装効果を持つことと、GEN+1の装備であることから運用が容易であり、潜入任務においては極めて有効な装備です。
野外においてはグレイスーツと合わせて、同じくカメレオン・クロス製の防水マントを着用して用いられることが多いようです。
光学迷彩とはいえども、人間のシルエットは特徴的であり、それを隠すにはマントを羽織るのは現実の迷彩においても有用です。
また、担当の需品科とは(賄賂の提供も含めて)仲良くしておくと、グレイスーツ内に武器を収納できるインターフェイスを取り付けてくれるようです。そうすると武器もグレイスーツに覆われるので不可視の状態にすることが出来ます。
武器の紛失につながることから、そのような行為は禁止されているものの、暗黙の了解で破られていることが多いようですね。どこの組織も似たようなものでしょう。
ホワイト・スーツ
正式名称を「マークⅡ 戦闘強化服」といい、物理部門の中でも特に攻撃的な部署である排撃班にて使用されている個人用戦闘装着セットです。
衣服というよりパワードスーツに近いものです。
用いられている技術はGEN+2と邪径技術であり、現行の科学技術とは一線を画したものになります。
そのため、他団体に鹵獲されたり、一般に露出することが無いように、工作員の手を離れてしまった場合は自爆装置が作動します。
ホワイト・スーツは以下の三つの要素で構成されています。
- ブラック・スーツと同等の防護性能をもつ全身型体表密着スーツに、排泄物回収ポートと対応調整用の水冷システムが追加されたもの。
- 腰部に搭載された小型燃料電池により稼働する人工筋肉による駆動系と各種危険状況から着用者を保護する機能をもつ装甲スーツ。
- 周辺の光を屈折させて完全な不可視状態を提供する邪径技術由来の光学迷彩。
非公式に、全身を覆う体表密着スーツを着用する関係から、体毛の除去をお奨めする工作員がいます。
屈伸運動をする際に毛を巻き込み、引き抜いてしまうことが多発するようです。
また、スーツに皺や弛みがあると、動くたびに肌を擦ってしまい水膨れまみれになるようです。
とはいえ、このような細かな欠点があるにしろ、オカルト連合が保有する異常な技術を用いた高度な戦闘装備であることに違いはありません。
オレンジ・スーツ
正式名称を「マークⅢ 超重交戦殻」といい、各種技術を搭載した戦闘用有人二足歩行ロボットとでも呼べる代物です。
巨大だったり重武装の脅威存在との交戦に投入される戦力です。
用いられている技術はホワイトスーツ同様にGEN+2と邪径技術ですが、より攻撃性能に特化した装備ですね。
排撃班による随伴歩兵戦力が必要であるものの、以下の性能を誇る極めて強力な装備です。
オレンジスーツの投入がされる状況というのは、敵対存在の性質的に、第二任務(隠蔽)が不可能な状況、なおかつオレンジ・スーツ自体の大きさと駆動に伴う騒音で、隠密行動が不可能です。
そのため、視聴覚性の認識災害発生装置「バンシー(人の死を叫び声で予告する妖精)」が装備されており、予防措置を受けていない人間に対してパニックを誘発させます。
これは、一般人の混乱以外にも、敵対者に対する攻撃としても機能しています。
そのため、数人のオレンジ・スーツ搭乗者は、注意を引くために意図的に派手な色彩に塗装しているそうです。
上述の通り、極めて高性能な攻撃力と防御力を誇るものの、随伴歩兵が必要という欠点もあります。
というのも、巨大ゆえに周囲や機体そのものにも視覚が多く、的歩兵がオレンジ・スーツをよじのぼり、コックピットを探りあてて搭乗者を一方的に殺害したケースがありました。
そのため、随伴歩兵による近接戦闘支援が必要とされているのです。
ただし、孤立してしまった場合に備えて、スーツには対人指向性地雷が複数搭載されており、的歩兵に近接された際の排除に用いられます。
この装備については専門的な記載が多いので、ぜひ元記事をご覧ください。
VERITAS
正式名称を「マークⅣ 生体エネルギー放射視覚化戦術認識システム」といい、人類には近くできない生命体が発する一種のエネルギー波を視覚化する装置です。
用いられている技術は邪径技術のみで、科学技術では解明できない現象を用いた装備です。
光増式・赤外線・紫外線視覚補助ヘッドセットに合わせて搭載されています。
観測した生命体の性質や心身の状態、現実改変等の各種改変を定量化することができるようです。
また、障害物があとうとも生体エネルギーの観測が可能であり、索敵に非常に効果的です。
さらに、2機以上のユニットを使用することで、生体エネルギーの位置や性質を三角測量して、観測可能範囲内の立体地図および敵対存在の位置をマッピングした情報を指揮官に提供することが可能です。
正直言って難しくて私には理解できません。
まとめ
SCPの記事のいくつかには、財団が機能不全に陥ったり、人類の敵になったりする記事が存在します。
そんな時に率先して事態の解決にあたろうとするのが世界オカルト連合です。
初期の頃には財団のかませ犬のような扱いを受けていた時期もありますが、現在では財団と同等の能力を持つ組織として成長しました。
また、財団とはお互いに「他の団体よりは話がわかる」という認識であり、状況によっては共同作戦を行うこともあります。
財団が収容しきれないオブジェクトを破壊したり、逆に連合が破壊できないオブジェクトを財団が引き取って収容することもあります。
互いのいいところを補い合えば、世界はもっと手間をかけずに平和になるのかもしれませんが、彼らは自らの信念こそが最適解だと信じているので、協力は限定的です。
とはいえ、正常な世界の維持という目標は同じであることから、これからもわかりやすいライバルとして互いを高めていくのでしょう。
ご意見ご感想は Twitter:@tanshilog まで頂けますとうれしいです。
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