下請法において、下請け代金についての禁止事項が以下の2つが定められています。
- 下請代金の減額の禁止(同法第1項第2号)
- 買いたたきの禁止(同法第1項第5号)
下請法に馴染みの薄い方には、この2つの違いが分かりにくいかと思います。
実際、当社の営業マンからも同様の説明がありました。
この記事では、下請法で禁止されている「下請代金の減額」と「買いたたき」の違いをわかりやすく解説します。
Twitter:@tanshilog
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価格を下げさせるタイミングが違う
シンプルに表現すると、
発注後に一度決定した金額から不当に減額させると「下請代金の減額」
発注前に過度に低い価格設定をさせると「買いたたき」
に該当します。
もう少し細かく解説
基本は上記の通りなのですが、それぞれ詳しく解説します。
「下請代金の減額」
基本的に取引というのは、打ち合わせの上で給付内容と価格を決定(値決め)し、発注に至ります。
その値決めされた金額を、下請事業者の非がないにも関わらず発注後に減額する行為が該当します。
つまり、親事業者の都合で代金を減額するのは全て不当な減額になります。
具体的には、
親事業者の収支悪化による減額の要請や、
エンドユーザーの計画変更による仕様変更
などによる減額要請が該当します。
親事業者とエンドユーザーが下請法で規制されない関係性の場合は、計画変更による減額を要求されることもあるかもしれません。
しかし、そんなことは下請事業者には関係ないことです。
もちろん、下請事業者に非がある場合は適切な範囲で減額が可能です。
ただし、その要件は具体的に下記に限定されていますので注意が必要です。。
- 下請事業者の瑕疵、納期遅れによって、受領拒否・返品した場合に、その給付に係る代金の減額をするとき 。
- 下請事業者の瑕疵、納期遅れによって、受領拒否・返品できるのに、そうしないで親事業者自らが手直しをした場合に、手直しに要した費用を減額するとき。
- 瑕疵等の存在または納期遅れによる商品価値の低下が明らかな場合に、客観的に相当と認められる額を減じるとき。
「買いたたき」について
「下請代金の減額」に対して、発注前の見積金額を通常支払われるべき対価に対して、不当に低くさせる行為が該当します。
親事業者が自社の利益を出すため、もしくは新規事業参入のために下請事業者にその負担をかけさせてはいけません。
ポイントとして、給付内容と価格のバランスが市場の価格帯と乖離していれば、不当な買いたたきとして認定される可能性があるということです。
つまり、買いたたきとして認定されないための手っ取り早いのは相見積を取ることであり、
さらに価格の査定根拠が客観的に妥当性があれば問題ありません。
そもそも、見積を取得する際に利益率だけを見て、各項目の査定をしないという人もいると思います。
値決めには全て根拠が必要であり、作業一式〇〇万円などの見積りであれば内訳を確認しなければいけません。
その結果、理屈を持った上で価格交渉が可能になることもあるでしょう。
査定根拠がなければ、買いたたきでないと主張できませんからね。
まとめ
ビジネスにおいて、代金の支払いは最も重要な要素の一つです。
本来であれば、給付内容と代金は同価値であり、親事業者と下請事業者に上下関係は発生しません。
しかし、お金の持つオールマイティさから、親事業者が優位になることがしばしばあります。
というよりは、殆どの場合、下請事業者は親事業者に逆らえません。
そんな状況を打破できるのが下請法です。
下請事業者にとっては自分を守ってくれる法律であり、親事業者にとっては対応な取引をする戒めになります。
下請法の知識を持っていないと、不当に害を受けたり、知らず知らずのうちに犯罪行為に手を染めることになります。
取引に関与するすべての人が正しく持つべき知識だと思います。
この記事があなたの参考になりましたら幸いです。
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