ミリタリーに少しでも興味のある方が気になるであろうアイテムの一つがナイトビジョン(暗視装置)でしょう。
何を隠そう、私もそうです。
真っ暗な中、相手に気付かれずに自分は視界を確保する。
裸眼では見えない暗所を機械的に増幅された視界で見る。
かっこいいじゃないですか。
そして、現代はネットを通じてほとんど何でも買える時代。
もちろん、ナイトビジョンも楽天やAmazonで購入可能です。
数万円から数十万円までバリエーションがあり、高価な物ほど優れた視界を提供してくれます。
とはいえ、十万円以上するような良い製品をお小遣いを捻出して買う余裕のある方はそう多くないでしょう。
この記事では3万円以下で買えるAN/PVS-14タイプ(外観レプリカ)のアクティブ型赤外線暗視装置のレビューをします。
Twitter:@tanshilog
見え方
この製品の暗視機能は、本体の赤外線投射部から肉眼では不可視の光線を照射し、カメラのセンサーが赤外線を増幅・可視化し、視界を提供するという仕組みです。
原理的には懐中電灯を照らしているのと同じで、完全な暗所では赤外線を照射しない限りは暗視機能を発揮できません。
逆に言えば、光増式のパッシブ型暗視装置では暗視することができない、
完全な暗闇でも赤外線を照射することで視界を確保できます。
上の画像は工場や背景のビルの輪郭がはっきり写っていますが、肉眼で見ると手前の街灯に照らされた範囲が少し見えるかなというくらいで、結構暗い場所です。街灯もこんなに明るくありません。
また、本体から赤外線を照射しなくても、他に赤外線を発するものがあれば可視化してくれます。
たとえば街灯や監視カメラの発する赤外線ライト、他にはタバコの火を初めとした炎があれば増幅し視覚化してくれます。
特に炎は赤外線を多く発しているので、煙草を吸っている人は遠距離であっても目立ちます。
このご時世、例えばiPhoneを初めとしたナイトショット機能を持った製品は多数あり、それらの静止画像に比べると当然見劣りしますが、夜間の常時視界確保という目的に絞れば、さすがはナイトビジョンと言ったところでしょうか。
この製品の倍率は2倍固定なので、至近距離を見るというよりは、少し離れたところを全体的に見るといった使い方に向いています。
ちなみに備え付けの赤外線ライトでは光量が足りないと感じる際は、以下のような赤外線ライトを併用することをお勧めします。
サイズ感
AN/PVS-14という、陸上自衛隊でも採用されている実在の暗視装置の外観を模しているため、サイズ感も同じくらいです。
マウント用のネジ穴も切ってあるため、付属のレール取付用マウントを使用して銃に装着したり、別売りのヘルメットマウントを使用すれば、ヘルメットに装着することもできます。
私は89式に取り付けて遊んでいます。
これは余談で、私は持っていないのですが、ナイトビジョンの前方にダットサイト等を取り付ければ、暗視と照準を一度に可能と思われます。
ただし、サイトの発光方式によってはナイトビジョンのセンサーで捉えられないかもしれませんのでご注意下さい。
不満点
これも値段相応なので仕方がないのですが、近くで見たり触ってみたりするとプラ製で安っぽさは否めません。
実際安いんですけどね。
レール取付用のマウントも強度が高くなく、少し揺れるというか曲がるというか、取り付けた後に完全に固定することができません。
また、映像を写すディスプレイが小さいので視野角はかなり狭いです。
覗いてみるとディスプレイ以外の部分が大きいので、筒の中にさらに筒があるように視界が狭まります。
視野角の狭さと2倍率固定のため、実物のPVS-14のようにヘッドマウントして暗視しながら歩き回るということには向きません。
また、赤外線を照射する都合、真正面からだと発光部がほんの少し赤く見えます。
照射された赤外線の光自体は肉眼では見えないのですが、完全な隠蔽はできません。
このあたりは値段相応と言えばそれまでなので、それほど気になる欠点だとは個人的には思いません。
ちなみに、生産は中華系のメーカーっぽいので、品質やサービスについては過剰に期待しないでください。
販売ページによっては防水とありますが、少なくとも私の所有しているモデルが防水なのかはいまいち自信が持てません。パッキン等で処理されているようにも見えませんし。
新しくなったのかもしれませんが。
さすがに初期不良等はショップにて対応してもらえますが、まあ中華の値段相応の製品です。
ミリタリー好きの人なら中華メーカーのメリットデメリットについて今更言うまでもないことだとは思いますけれど、念のため。
まとめ
ナイトビジョン(暗視装置)というと大仰ですが、この製品はシンプルに表現すると照射された赤外線を増幅・視覚化して画像を提供するデジタルビデオカメラです。
夜間の視界確保という目的は達成していますが、所詮は2万円台の製品です。
少し豪華なおもちゃという認識が正しいでしょう。
しかし、やはり肉眼では見えない風景を「ナイトビジョンを通して見る」というのはロマンがあります。
夜になると外に持出し、意味もなく遠くの街並みを眺めていると、暗視装置でしか見えない光景が広がっていて、これはこれで楽しいのです。
結局のところ趣味の製品であり自己満足の世界です。
私は、この値段で得られる娯楽としては十分な性能を持っていると思っています。
あと、単三電池を2本使うだけで使用できますので、電池の入手性もコスパも問題ありません。
趣味以外の使い道として、畑や田んぼの夜間監視にも向いています。
本体から照射される赤外線は結構遠方まで届きます。
そして、目に見えないだけで光の一種ですので、人間を含めた動物の目に当たれば非常に反射します。
何度か野良猫をナイトビジョン越しに見たことがあるのですが、反射光を増幅するため目がすさまじく光って見えます。
仮に目が見えなくとも輪郭ははっきり写りますので、害獣対策や不審者対策に効果を発揮するでしょう。
Twitter:@tanshilog
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